【F1】2013シーズン総括。王者・ベッテルが乗り越えてきた試練 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「後半戦9連勝という記録は一度に成し遂げたわけじゃない。一戦一戦がチャレンジだった。その結果でしかないんだ。スポーツというのは、常に良い日ばかりが続くわけじゃない。必ずアップダウンがあるものだ。僕はこれまで、“今回もうまくいく保証なんてない”と言い続けてきただろう?」

 彼が勝ち続けた後半戦はいずれも独走などではなかった。どのレースにも試練があり、ドラマがあった。つまり、ベッテルとレッドブルは、単に優れたマシンを手にしたから勝ったのではなく、マシンをつくりあげてレース戦略を練り、ドライビングを極限まで高めて目の前の試練に立ち向かい続けたからこそ勝利することができたのだ。ベッテルとレッドブルが困難な局面を乗り越えていく姿は、アスリートとして美しく、賞賛に値するものだった。

 F1の世界にひとつとして同じ山はなく、平坦な道もない。ライバルが途中で挫折し、登ることのできなかった険しい道を、ベッテルとレッドブルだけは登り続けた。

「いつだってどんなレースだって、僕は楽しい。楽しくなければ、レースをする意味なんてないと思っている。僕は毎レース楽しんでいるよ。そしてもちろん、僕がここにいるのは2位になるためじゃない。勝つために戦っているんだ」

 もし彼の登ってきた山が平坦に見えるのなら、それは彼があまりにも素晴らしく優れたドライバーだからだ。だが、彼がどんな試練と闘い、なぜ彼だけが険しい道を這い上がって頂点に立つことができたのかを思えば、2013年シーズンがいかにエキサイティングで魅力に満ちたものだったかを再認識できるのではないだろうか。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る