【MotoGP】マルケスとロッシ、新旧天才の隣に「無二のパートナー」あり (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 そう話すロッシに対して、バージェスは「私たちなら、今すぐにでも勝てる」と断言する。

<「いいかね。2000年に犯したのと同じ間違いを繰り返すわけにはいかんのだよ」ジェレミーは続けた。「あの年のことを、覚えているだろう?」
「もちろん、忘れるわけがないさ」僕は、やや気色ばんで答えた。
「なら、二度と同じ轍を踏んではいかん」>

長年、共に戦ってきたロッシ(右)とチーフメカニックのバージェス長年、共に戦ってきたロッシ(右)とチーフメカニックのバージェス 向かうところ敵なしのホンダから、3位表彰台を年に1回獲るのがやっと、という状態のヤマハへ移籍したロッシは、初戦の南アフリカGPで劇的な優勝を飾る。そして、シーズン全体で8勝を挙げ、開幕前にバージェスと誓い合ったとおり、移籍初年度の年間総合優勝を達成した。

 自分自身にそのような経験があるだけに、ロッシは今シーズンのマルケスに対して「初年度からチャンピオンを狙いにいこうとしているところがいい」と、何度もその姿勢を絶賛した。

 余談になるが、選手がチームを移る際にチーフメカニックを帯同するのは、近年でこそ比較的よく見られる光景だが、これはロッシがバージェスを連れてホンダからヤマハへ移籍したことが契機になって他の選手にも広まっていった方法だ。バージェスは、ワイン・ガードナーやミック・ドゥーハンといった歴代チャンピオンを担当してきた人物で、その名伯楽ぶりに敬意を表したロッシが、2000年に最高峰へステップアップする際、三顧の礼を尽くして自陣営に招き入れたという経緯がある。

 それ以来、ロッシは後年にヤマハからドゥカティへ移籍した際も、また、2013年にドゥカティからヤマハへ復帰した際にも、バージェス以下の気心の知れたメカニックたちを常に伴って、彼らとともにチームを渡り歩いてきた。

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