【F1】マクラーレン・ホンダへ移行中。名門の中心に日本人エンジニアあり (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 最終的に、14番グリッドスタートのバトンは4位、19番グリッドスタートのペレスは6位でフィニッシュし、今井は笑顔を見せた。

「デグラデーションが大きかった分、早めにピットインするメリットがありました。少し大胆ではありましたけど、かなり早め早めに(ピットストップをして)先手を打っていきました。ほぼ想定どおりでしたね。ジェンソンもチェコ(ペレスの愛称)もペースが良かった。チェコなんてごぼう抜きしていましたからね。久々に見ていて気持ち良いレースでした(笑)」

 バトンはレースを終えて「マシンの不利を戦略で補った見事な結果だ」とチームの戦略を絶賛した。ただし、マクラーレンは今季ついに一度も表彰台を獲得することなくシーズンを終えることになってしまった。伝統ある名門チームにとっては、現行体制になる以前の1980年以来という屈辱的な結果だ。

 実を言えばマクラーレンは、今季型マシンについてかなり早い段階で見切りをつけ、優勝や表彰台を争うことは困難だろうと認識していた。その分、彼らは2014年型マシン、そして「マクラーレン・ホンダ」としての挑戦となる2015年型マシンの開発へ注力していった。

「最初に走らせた時点で、そのマシンの素性や全体的なパフォーマンスは分かりますからね。そこから伸びしろも予測がつきますし。ですから、現実的に(早い段階から)来年に向けて考えていましたね」

 そんな状態で戦うシーズンでも、得られるものはあった。特に、今季の戦いにおいて比重が増したレース戦略については、新たなノウハウの蓄積が進んだという。

「いろいろと学ぶことができました。レース戦略や戦い方という点では、今年はトップを争っていた時とは違うことをやる必要があったわけですが、私としてはそれが非常に新鮮でしたし、勉強するところが多かったですね。来年以降はもうちょっと楽ができれば良いんですけど(苦笑)、生かせる部分が結構多いと思います」

 最終戦ブラジルGPもまた、まさにそんなレースだった。優勝したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)、F1引退レースを2位で飾ったマーク・ウェバー(レッドブル)、3位フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)の上位3台から20秒近く離されてのフィニッシュ。それでも巧みなレース戦略で4位、6位という結果をつかみとった。

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