【MotoGP】ライバルが語る「史上最年少王者」マルケスのすごさ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今季、最終戦までチャンピオンを争ったホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)は、マルケスに対して以下のような評価をしている。

「マルクは、才能と貪欲さの双方を備えている。彼はいつでもトップを走りたいと思っているので、彼の前にいるときは気を抜くことができない。自分と全然別のライディングスタイルで、自分の場合は正確でコンスタントな乗り方だけど、マルクはまだ不正確なところがある。彼の短所が自分の長所であり、自分の短所が彼の長所なのだと思う」

 マルケスのチームメイトで、こちらもシーズン終盤までチャンピオンを争ったダニ・ペドロサも、ロレンソと同様の見方をしている。

最終戦も、マルケス(93番)、ロレンソ(99番)、ペドロサ(26番)の3人が上位争いを繰りひろげた最終戦も、マルケス(93番)、ロレンソ(99番)、ペドロサ(26番)の3人が上位争いを繰りひろげた「意志と能力を兼ね備えているのは彼の大きな武器だと思う。ただ、欠点は、いつも限界で走ってしまうこと。その結果、ときにコントロールできなくなって転倒してしまう。つまり、経験の浅いところが彼の弱点なのかな」

 年長のライバルであり同郷スペインの先輩でもあるロレンソとペドロサが指摘する弱点は、マルケス自身もよく自覚しているようだ。

「まさにそのとおりで、特にシーズン前半は、彼らについていくために全セッションでいつも限界で走っていた。だからあんなに転倒してしまった。今年は、転倒回数でもぼくがトップだったんじゃないかな(笑)。でも、シーズン後半は、マージンを持って走れるようになった。予選では限界で走っても、レースでは状況をコントロールできるようにもなってきた」

 実際、この日の決勝レースでマルケスは、中盤周回以降に激しいバトルを展開するロレンソとペドロサの戦いから一歩退いた位置で、冷静に様子を見極めながら3番手を走行した。
「自分も一緒にバトルをしたかった。でも、チャンピオンシップのほうが大事だと自分に言い聞かせて、レースを終えたんだ」

 全30周のレースは、ロレンソが優勝。ペドロサが2位でチェッカーを受けた。

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