【MotoGP】気迫のロレンソ、マルケスの年間優勝に「待った」 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 この結果、ふたりの得点差は13点になり、チャンピオン決定は最終戦のバレンシアGPまで持ち越されることになった。マルケスに有利な状況は相変わらず変わらない。しかし、ロレンソが可能性の扉を自らの膂力(りょりょく)で少しずつ押し開きつつあるのもまた、事実だ。

 8月末には「計算上の可能性はともかく、事実上は決定したも同然」と諦めモードだったロレンソが、前戦のオーストラリアGP終了後には「可能性は2~3パーセントから20~30パーセントに広がった」と話し、今回も勝利をもぎ取ったことにより、「チャンピオンシップが終わったとはいいたくないし、バレンシアでも最善を尽くす。状況は自分たち次第だと思うので、全力で勝ちを狙いに行きたい」と最終戦に希望をつないだ。

 また、今回のロレンソの勝利により、ヤマハは最高峰クラス200勝という記念すべき節目に到達した。

「自分の過去の全勝利を思い出すのは難しいけど、今日は自分のレースキャリアのなかでもベストレースのひとつだと思う。集中力、ペースともに、すべての周回で相当な高水準を維持できた。ソフトタイヤでさらにペースアップしてゆくこともできた。自分たちにとっておそらく勝つのがもっとも難しいコースで勝てたので、今日の勝利は本当に格別だ」

 最終戦のバレンシアでは、この勢いと波に乗るロレンソが、大逆転のチャンピオン獲得劇を実現させるのか。あるいは、スーパールーキーのマルケスが、二輪ロードレース史上最年少の最高峰クラス総合優勝記録を塗り替えるのか。

 最終的に歴史が書き換えられるのかどうかはともかくとしても、2013年のこの劇的な戦いの連続は、間違いなく人々の記憶に長く残り続けることだろう。

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