【MotoGP】最年少チャンピオン狙うマルケス、失格の舞台裏 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 当のマルケスによると、このピットインはサインボードの指示に従ったもので、そのタイミングも、当初の計画どおりだったという。要するに、マルケスのチームが9周目もしくは10周目終了時にピットイン、というルールの解釈を誤って理解していた、ということらしい。

 レース後、さっさとチームウェアに着替えたマルケスは
「サインボードの<BOX>という表示にしたがってピットに入ったけど、そのときはすでに遅かった」と、やや悄然とした表情で語った。

大いなる勘違い、というほかないこの計画ミスについては
「最大の失敗は、その周回でもOKだと思っていたこと。皆で計画を立てて、(マネージャーの)エミリオ(・アルサモラ)も入れて、3~4人でプランを練った。だから、これはチーム全体の責任で、誰かひとりを責めるわけにはいかない。ポジティブに考えれば、あのままレースを続けていれば表彰台は獲れていたと思うし、勝てていたかもしれない。今回のことを教訓とし、はやく忘れて次戦の日本に向かいたい」

 ところで、冒頭で紹介したロッシの「何が起こっても不思議ではない」という言葉は、じつはこのマルケスのチャンピオン獲得可能性について言及したものだ。上記の言葉に続いて、ロッシはこんなふうに話していた

「まだ2レースあるから、どうなるかわからないし、何だってありえるよ。ホルヘは諦めずに戦っているからね。マルケスの状況は少し微妙になり、プレッシャーも少し高くなったかもしれないけれども、非常に高い才能を披露している。今後も愉(たの)しみだね」

 今週末、栃木県ツインリンクもてぎで行なわれる日本GPでは、マルケスが優勝し、ロレンソが3位以下で終わるなど、獲得ポイントに7点以上の差がつけば、史上最年少の世界チャンピオンが誕生する。

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