【MotoGP】最年少チャンピオン狙うマルケス、失格の舞台裏

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 レース開始後、ロレンソ、マルケス、ペドロサの3台がトップグループを構成した。ロッシはそこからやや遅れ、他の選手と4番手争いを繰り広げている。いつもの、見慣れた決勝風景だ。

 9周目に、3番手を走行していたペドロサが最終コーナー手前のピットロード入り口へ向かった。コース上では、ロレンソの直後にマルケスがつけ、緊迫した周回を続けている。

 ロレンソは10周目にピットイン。しかし、マルケスはロレンソと同様にピットロードへ向かわず、そのままコース上を走行してコントロールラインを通過。10周目を完了し、11周目に向かった。

 ひとり淡々とコースを走行するマルケスの姿に、周囲は騒然となった。

 当のマルケスは、その周回、つまり11周目終了時にピットロードへ向かい、新品タイヤを装着したマシンに乗り換えてコースへ復帰した。

 もちろんこれがルールに違反していることは明白で、ほどなくマルケスに対して黒旗が提示され、失格処分となった。

 レースはロレンソが優勝。ペドロサが2位。ロッシが3位に入った。チャンピオンシップポイントは、マルケスが失格の0点に終わったことにより、ロレンソとの点差は18点へと一気に縮まった。

 マルケスにしてみれば、悔やんでも悔やみきれない痛恨の凡ミス、というほかない。

 それにしても、なぜ、このような失策に至ってしまったのか。

「どうしてああいう奇妙な失敗を犯すのか、まったく理解できない」。マルケスがコース上から消えたことにより3位でチェッカーフラッグを受けたロッシは、その原因を以下のように推測する。

「(ピットインのタイミングは)2周しかなくて、前を走るホルヘがピットへ戻っていくのに、なぜついていかなかったのか。それとも、サインボードの表示を見ていなかったのか。自分の場合から想像すると、僕は最初(9周目)にピットインしようと思っていたのだけれども、(アルバロ・)バウティスタとバトルをしている最中だったので、サインボードを見ていなかったんだ。でも、その周回の終わりにバウティスタがピットインしていったから、自分は次の周回でピットに戻った。そういうことが2回、マルケスに発生した、ということなのかもしれないけど......、よくわからないね」

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