【F1】ドライバー絶賛。「世界最高のサーキット」鈴鹿の魅力とは (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 サーキットやホテルの入口には、ドライバーたちの姿をひと目見ようと大勢のファンが朝早くから並んで待っている。木曜日から大勢のファンが来場し、毎日夜遅くまでスタンドに残って、メカニックたちの作業の様子を眺めて楽しんでいる観客も多い。

 ファンが溢れかえっている観客エリアは熱気に満ち、グッズが飛ぶように売れ、自作の応援グッズに身を固めている人もあちこちにいる。観客席には、最後列スタートの新人ドライバーを応援する横断幕さえある。こんな光景は、ヨーロッパのレースでもなかなかあるものではない。

 それが分かっているからこそ、ドライバーたちはわざわざピットウォールにまで出てきて観客席に手を振る。表彰式と取材対応を終えたベッテルは、薄暗くなったメインストレートからまだ大勢のファンが残るグランドスタンドに向かって手を振り、感謝の気持ちを返す。

 素晴らしいのは鈴鹿の雰囲気だけではない。F1ドライバーたちは鈴鹿サーキットのコースを絶賛する。それは、高速コーナーが多く、空力で曲がっていくF1マシンの性能を最大限に引き出すことができるからだ。ベッテルは「まるで神の手で作られたかのようなサーキットだ」と褒めちぎる。

「僕は鈴鹿が世界で最高のサーキットだと思っている。ドライバーにとっては、高速コーナーが連なるあのセクター1を駆け抜けるのは最高の気分だよ。マシンの限界ギリギリまで攻め、自分自身の限界にチャレンジできる、すごくトリッキーで挑戦しがいのあるサーキットだ。こんなサーキットは世界中どこを探してもないんだ」(ベッテル)

「鈴鹿を速く走るためには、何かプラスアルファを見つけなきゃいけない。でも、少しでもプッシュしすぎるとコースオフしてしまう。だから難しいんだ。ドライバーならみんな、鈴鹿の高速コーナーが大好きだと思う」(フェルナンド・アロンソ/フェラーリ)

「限界ギリギリで走っていれば、鈴鹿のような高速サーキットでは、週末の間で一度は危ない場面を経験するものだ。鈴鹿はランオフエリアがとても狭いし、スピードも出ているから、ミスを犯せば大きな代償を払うことになる。レーシングドライバーとして、鈴鹿でのチャレンジを心から楽しんでいるよ」(キミ・ライコネン/ロータス)

「鈴鹿で速いラップタイムを記録するためには、かなり攻めの走りが要求されるんだ。妥協が許されないサーキットだ。でも、だからこそF1マシンを運転する最高のスリルを味わえる。わずかなミスも許されない中で、速いタイムを出すためには究極の限界ギリギリで走らなければならないからね」(ルイス・ハミルトン/メルセデスAMG)

 世界屈指のドライバーズサーキット。ドライビングの腕が試される場所。

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