【F1】小林可夢偉は来季シート争いに割って入れるか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki photo by Yoneya Mineoki


■小林可夢偉が狙うのはどこのチームのシートか?

 そんな中、小林可夢偉は、どのようにF1復帰への道を模索しているのだろうか。

 9月、イタリアGP開催中のモンツァを訪れた可夢偉は、「もちろんF1のシートはあきらめていません」とF1復帰への思いを語った。

「やはり資金の問題があります。今年もやっぱりお金がないと厳しいです」

 可夢偉は交渉を進めるうえで持ち込み資金の有無が障壁になっていることを吐露した。さらに言うなら、今季所属しているスクーデリア・フェラーリのF1シート獲得や、チームからの何らかの後押しは、イタリアGP時点ですでに考慮に入れていないということだ。

 可夢偉は、昨年、ファンから募った資金を今も大切に保管しており、それに加えて個人スポンサーを持ち込むことで、競争力のあるチームのシートを狙う他ドライバーたちに対抗していこうとしている。

 だが、可夢偉の1年間のブランクをチーム側がどう見るかだ。来年は技術規定が大きく変わるだけに、大きな不利にならないとも言えるが、複雑な状況の中でいかに交渉をうまく進めるかは、マネジメント体制の手腕に掛かっているといえる。

「交渉はすべてマリオさん(マネージャーのマリオ宮川氏)に任せてあります。頑張りますので、もう少し待っていてください」

 可夢偉はそう言って、交渉の詳細については多くを語らなかった。

 昨年末と同じように、資金を持ち込んでまで下位チームで走るつもりはない、競争力のあるチームでしか走るつもりはないというスタンスは変えてないのか?と問うと、可夢偉はしっかりと頷(うないず)いた。

 現時点で、競争力のある上位チームの空席は、ロータス、マクラーレン、フォースインディアということになる。

 フォースインディアは、メルセデスやスコットランド企業の支援を受けるポール・ディ・レスタの残留が確定的ながら、もう1席は流動的と言われている。オーナーである大富豪、ビジェイ・マリヤのビジネスが不調で、チームは財政難に苦しんでおり、持ち込み資金の勝負になると見られている。

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