【F1】小林可夢偉は来季シート争いに割って入れるか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki photo by Yoneya Mineoki

 エンジン・パワーユニットが大きく変化する2014年に向けて、ライコネンはメーカーのワークス体制こそが最重要と考えていた。昨年から続く契約金の支払遅延もあったが、ライコネンにとって重要なのはサラリーよりも競争力のある体制だった。

 ライコネンは2007年から3年間を過ごした古巣・フェラーリとの交渉を加速させた。両者の話し合いはトントン拍子に進み、レッドブルのドライバー発表から1週間後、フェラーリはライコネンとの契約を発表した。不振が続くフェリペ・マッサは放出となる。

 その結果、ロータスにひとつ空席ができることになった。ロータスは、フランス企業であるルノー、トタル石油と良好な関係を築いているロマン・グロージャンを残留させ、ライコネンの後任には実力者を獲得したい意向だ。

 ただし、ロータスはライコネンへの契約金未払い問題が表すように、資金的に楽な状況ではない。そのため、資金の持ち込みがあるか、スポンサー獲得の後押しになるようなドライバーを獲得したいところだろう。実績のあるニコ・ヒュルケンベルグやベネズエラ政府の支援があるパストール・マルドナド、ブラジル企業が支援する可能性があるマッサらの名前が挙がっているが、どれも決め手を欠いている状態だ。

■2015年からホンダがF1に復帰する影響は?

 また、現行ラインナップのジェンソン・バトンとセルジオ・ペレスで継続と見られていたマクラーレンも、2014年のシートは流動的になっている。

 かねてから財政状況が思わしくなかったマクラーレンだが、タイトルスポンサーのボーダフォンが今季限りで契約を終了することから、その後任としてメキシコの通信会社テルメックスの獲得を見越したうえで、今季からメキシコ人のペレスを加入させた。しかし、2015年からホンダとの長期パートナーシップが実現したことで、資金的不安はほぼ解消。マクラーレンとホンダが望んでいるのはチャンピオン獲得のために必要な実力と経験を持ったドライバーだ。

 2015年の「マクラーレン・ホンダ」体制に向けて、2014年がバトンとペレスでは心許ないというのは誰の目にも明らかで、ここにきてマクラーレンは能力優先でドライバーの再選定を進めているという。昨年のザウバー同様、テルメックスからマクラーレンへのスポンサー料支払が滞っているという噂もある。

 他に選択肢がなければ両ドライバーとも残留という可能性はあるものの、レッドブル、フェラーリ、ロータスという上位チームのラインナップ変動の余波を受けて、マクラーレンのシートまで含めて大きく動く可能性がある。

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