【F1】後半戦スタート。レッドブルの独走を止めるチームは現れるか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 シーズン前半戦の最速マシンだったメルセデスAMGは、ここスパで失速した。予選こそルイス・ハミルトンがポールポジションを獲ったが、これは雨に助けられたためで、通常のドライコンディションではレッドブルはおろかフェラーリやロータスにも後れを取っていたであろうことを陣営は認めている。

「レースウィークが始まった時点から、僕らにはレッドブルやフェラーリほどの速さがないと感じていた。ポールを獲ってからも、彼らと同等の速さはないと言ったよね。昨日の予選は天候が味方してくれたけど、今日の決勝の彼らは速すぎだったよ。僕らはやれるだけのことはやったんだけどね」(ハミルトン)

 メルセデスは、ドラッグ(空気抵抗)が低い仕様の空力パッケージ開発に失敗したのだ。そのせいか、長い直線でタイヤが冷えてしまい、ウォームアップに苦労することにもなった。

「前後のタイヤが同じタイミングで同じように温まってくれないんだ。そのせいで1周アタック、ショートランではタイムを出すのに苦労した」(ロス・ブラウン/メルセデス代表)

 それを知っていた予選2位のベッテルは、スタート直後に狙いを定めて、前を走るハミルトンを抜き去ったのだ。

 スパよりもさらに高速のモンツァで行なわれる次のイタリアGPでも、メルセデスは苦戦を強いられることになるだろう。だが、これで彼らがチャンピオンシップ争いから脱落するわけではない。空力性能がものを言うシンガポールGP以降は再び速さを取り戻してくるはずだ。イタリアGPに向けても、「特殊パッケージの見直しができるかどうか、急いで分析しなければならない」とハミルトンはあきらめてはいない。

 一方、キミ・ライコネンが27戦連続入賞という驚異的な記録を続けていたロータスも、ベルギーGPでは速さを見せることができなかった。今回、ライコネンはリタイアしてしまい、連続入賞記録はついにストップ。そのリタイアの原因はブレーキの冷却ダクトにゴミを拾ってしまい、ブレーキが過熱してしまったことにあったが、マシン性能そのものも上位に対抗できるだけの速さがなかった。

 ロータスは、この特殊な高速サーキットで大きな武器になるダブルDRS (可変リアウイング)というデバイスを持ち込んでいた。これは、走行風を取り込んでリアウイングの裏側に流すことで空気抵抗を大幅に削減する装置で、これまで数戦のフリー走行でテスト運用し、7月のシルバーストン合同テストで入念な開発を行なっていたアイテムだ。

 金曜フリー走行の時点で2台ともにこのダブルDRSを搭載していた彼らは、他チームに比べて明らかに大柄なリアウイングを装着していた。これを装備すれば、空気抵抗を増やすことなく巨大なダウンフォースを獲得できるのだから、曲がりくねった区間では格段に有利に戦うことができるはずだったのだ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る