【MotoGP】快進撃の新星、マルク・マルケスが見せる規格外の強さ (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ロレンソとペドロサは昨年のチェコGPで最終ラップまでバトルを繰り広げ、最終区間の切り返しでペドロサが乾坤一擲(けんこんいってき)のオーバーテイクをしかけて優勝をもぎ取った。その激しい戦いの記憶があるだけに、さすがに今回のレースは一筋縄ではいかないだろうとも思わせた。

 だが、マルケスは終盤4周でロレンソを抜き去りトップに立つと、一気に引き離しにかかった。ペドロサもすかさずロレンソをパスしてマルケスを追走するが、0.313秒差を詰めきることができずに2位でチェッカー。終わってみれば、経験豊富なチャンピオンが豊富な技術と知恵で押し切ったかのような印象を与えるレースになった。

 2位に終わったペドロサは「マルクをオーバーテイクしようとしたけれども、彼のブレーキングが深くて自分は突っこみきれなかった」と、この日の展開を振り返った。一方のマルケスは、「今回は勝てると思っていなかった」と話した。

「レース前は、もっと苦戦するものと思っていた。ヤマハは(8月上旬に)ここでテストをしていたし、ダニはこのコースでとても速く、去年も激戦を制している。だから、決勝は序盤から攻めた。離れてしまうと追いつけないと思ったので、ラグナ(第9戦)やインディ(第10戦)のときよりも全力でプッシュしたんだ。気持ちを落ち着かせるようにして、やがてフィーリングもよくなってきて、バトルに持ち込むことができた」

 今回の勝利で25ポイントを加算したマルケスは、ランキング2位のペドロサに26点差、3位のロレンソに44点差をつけた。

 最年少優勝記録、最年少連勝記録、ルーキーイヤー最多勝利記録を次々に更新しているマルケスだが、なによりも驚異的なのは、デビューイヤーらしからぬ高い安定感だ。

 今回のレースを4位で終えたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)は、決勝後にマルケスのパフォーマンスをこんなふうに評している。

「(4連勝の達成は)ホントにたいしたものだと思う。素晴らしい結果を出しているね。それになにより、2番手走行中につまらないミスで転倒してしまったムジェロ(第5戦)を除き、11戦中10回の表彰台というのもすごいよ」

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