【F1】ハンガリーで今季初勝利。
元王者ハミルトンがタイトル争いに名乗り

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 予選を迎えた時点で下馬評が高かったのはセバスチャン・ベッテルとマーク・ウェバーのレッドブル2台とロマン・グロージャン(ロータス)であり、メルセデスは自分たちですら上位争いができるとは考えていなかった。

 しかし、予選が終わってみればポール獲得。予選で速いということは、決勝でタイヤに厳しすぎるマシンに仕上がってしまっている可能性があった。

「こんなに暑いコンディションでタイヤをいたわるのは大変だ。僕らのロングランはそんなにひどくなかったけど、レッドブルやロータスほどは良くなかったから......」(ハミルトン)

 だが、チーム代表のロス・ブラウンの見方は異なっていた。

「我々はこの新タイヤを事前テストで試すことができなかったから、金曜日から少しずつ学んでいかなければならなかった。金曜日にあまり良くなかったのは、初めてこのタイヤを履いて走ったからだ。『なぜこうなるのか、どうすればいいのか』と試行錯誤を繰り返していたんだ。マシンバランスがうまくとれていなかったから、最初はあまり良くないように見えた。しかし、金曜の夜にエンジニアとドライバーが分析を進め、ここまでもってきた。あとはレースでマシンバランスをきちんと合わせ込めさえすれば、シーズン序盤のレースとは違った展開になるんじゃないかと思っているよ」

 フリー走行の段階から、タイヤの性能低下を抑えるためにドライバーにはさまざまな指示が飛んでいた。

 タイヤに負荷のかかる高速コーナーでのライン取り、タイヤ温度の管理、ブレーキバランス、リアタイヤの内輪差を吸収するデファレンシャルギアの設定など、さまざまな要素を組み合わせ、タイヤに負荷のかからない走りを模索する。

 マシンの側でもウイングやサスペンションの調整で、タイヤに優しいセットアップを探る。そして、どの程度ペースを抑えて走れば、タイヤの性能低下の進行を最小限に抑えることができるかも模索する。金曜午後には、2台で走り方を変えてドライビングとタイヤの保ち方の相関関係も確認していた。

 そして、ハンガリーGP決勝は、果たして事前の予報通り、路面温度が50度を超える中でスタートを迎えた。

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