【F1】安全性に疑問。イギリスGPでピレリタイヤが連続バースト (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「私が把握していることを伝えに行きました。実際の使用状況については我々の方がよく分かっているでしょうからね。変更よりもまず話し合いの場を持って欲しいということも伝えました」

 ピレリはすぐに原因究明のための調査を開始したが、「接着方法は原因から排除しても大丈夫」という結論を早々に出している。だが、接着方法そのものは良くても、それが他に及ぼす影響までは把握し切れていない可能性もある。

 今回の問題が縁石やコース特性によるものでないのなら、次のレースでも同じような問題が起きることは十分にありえる。というよりも、起こらないと考える根拠はない。

 5日後に迫ったドイツGPに向けて、各チームからは実績のある去年型タイヤに戻してレースを行なうことも提案されている。

 今井は、「とにかく安全性を確保してもらいたい」と訴える。

「僕らとしては安全なタイヤでレースをすることが最優先ですから、望むのはそれだけです。どんなスペックになっても我々は構いませんが、とにかく安全なタイヤを用意してもらいたいですね。それが優先事項。というか、最低条件です」

 今季のピレリタイヤのパフォーマンスに対しては批判の声が上がっていた。これを是正するとなれば、タイヤスペックの変更によって有利・不利が生じることは避けられないため、チーム間での駆け引きも行なわれてきた。モナコGP前にはメルセデスのテストを巡る騒動も起きた。

 しかし、今井の分析が正しければ、そのタイヤ特性の問題と今回のトラブルとはまったく別の問題。その点は明確に分けて論じられるべきだ。

 今求められるべきは、F1で何よりも優先されるべき安全性の確保のために、何ができるのかということだ。わずか4日間という短い時間で、F1に関わるすべての人々が試されていると見るべきだろう。


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