【MotoGP】同じリタイアでも対照的。
ロッシの苦悩とマルケスの進化

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ロッシ自身がそう話すとおり、今後どこかのレースで表彰台にあがらない限り、復活のアピールにはならないだろう。ムジェロが最高の舞台であったことはまちかいないが、カタルーニャ、アッセン、ザクセンリンク、ラグナセカのいずれでも、表彰台を獲得すれば価値と意義を見いだせるはずだ。

 前半戦のうちに、ロッシが表彰台で歓喜する姿を見ておきたかったと願うファンは多い。ちなみに、イタリアGP翌日のあるイタリアスポーツ紙には、カメがひっくり返って起き上がれずに苦悶する風刺画が掲載されていた。

 一方、今回は決勝レース中にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)も転倒リタイアを喫し、悔しそうな仕草がモニターに大写しになった。だが、この転倒で彼の評価はかえって高まったかもしれない。

終盤に転倒して初のリタイアも、能力の高さを見せたマルケス終盤に転倒して初のリタイアも、能力の高さを見せたマルケス 開幕以来、毎戦表彰台を獲得してきたスーパールーキーは、金曜の予選一回目に4コーナー、午後の2回目にはストレートエンドで猛烈なハイスピードクラッシュ。本人が明らかにしたところによると、フロントが切れこんだときは時速338キロ、コンクリートウォールに激突したのは時速320キロほどだったという。ヘルメットの左下あごを打撲し、右の肩にも亀裂骨折を負ったのだが、その程度ですんだのは不幸中の幸い、というべきであろう。

 翌土曜の予選では、2列目6番グリッドを獲得。予選走行後には、「明日は表彰台よりも、ポイント獲得が目標。今日はなんとかバイクに乗ることができたけど、明日は苦しいレースになると思う。ここは最も難しいコースのひとつで、切り返しも多いから、一周ならうまく走れても、レースディスタンスを乗り切るのは大変だと思う」と話した。

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