【F1】モナコGPを制したチーム、メルセデスに重大な疑惑発生 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

■FIAからの許可は得ていたというが……

 では、どうしてこれまで禁止されていた最新型マシンでのテストが行なわれることになったのだろうか?

 実は、ピレリはFIA(国際自動車連盟)とのタイヤ供給契約の中で、各チームに依頼して1000kmまでのテストを行なうことを許されている。これに基づいてピレリは、スペインGP前に全チームにテスト要請を行なったという。ピレリのある関係者は語る。

「我々は各チームと1000kmまでのテストを行なうことが許されており、それに沿って全チームに対してテストのインビテーションを送り、メルセデスAMGのみが返答をしてきたので、彼らとテストを行なった。FIAと全チームの合意を得ている合法的なテストだ」

 しかし、使用するマシンについてピレリ側から指定したわけではないという。

「今年のクルマが使われたことについては、我々が関知することではないし、チームやマシンなど、我々が何かを選択したわけではない。我々としてはすべてルールを尊重し合法的なテストを行なったに過ぎない。こうした事態になってしまったことは、偶然の一致としか言いようがないだろう。メルセデスAMGにペナルティが科せられるかどうかは分からないが、我々としては、落ち度はなかったものと考えている」

 実際、ピレリからテスト要請があったことはレッドブルやフェラーリも認めている。しかし、彼らは当然、そこでは2年以上前のマシンを使わなければならないと考え、手間やコストの問題からこれを受け容れなかったというわけだ。

 では、なぜメルセデスAMGは最新型マシンを使ったのか?

「2013年型マシンを使用することについてFIAの許可を得ていたし、彼らにとっても何らサプライズはなかったはずだ」

 ブラウン代表はそう語る。実は、事前にピレリとFIAの間で今回のテストについて協議が行なわれていたのだ。FIAはピレリからの問い合わせがあったことを認め、テストがピレリによって運営されることと、全チームに同様の機会が与えられることを条件に可能であると返答したという。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る