【F1】モナコGPを制したチーム、メルセデスに重大な疑惑発生 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「テレメトリーのデータ(燃料残量や油圧、電子機器などのデータ)はピレリのために収集しなければならない。タイヤを理解するためにピレリはあらゆるデータを必要としている。それに、データを収集することなくマシンを走らせることはできないからね。タイヤはすべてAとかBという暗号コード名で呼ばれ、どのタイヤがカナダGPに向けてテストされているものかを、我々が把握することはできないようになっていた。データが存在していたとしても、そこから何らかのアドバンテージを得ることは不可能だ」

 だが、他チームはそうは見ていない。

 彼らが問題視しているのは、今季型マシンが使われたという点だ。2年以上前のマシンならいざ知らず、最新のマシンをタイヤテストで走らせることは、そのチームの直接的な利益につながるためレギュレーションで禁止されている。

 抗議を提出したレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は次のように語る。

「好ましくないのは、ある特定のチームが、見えないところで意図的に今季用に設計されたタイヤをテストしたということだ。今季型マシンで、現役ドライバーが、今季もレースに使われているサーキットで、次のレースに使用するタイヤをテストした。スポーティングレギュレーションに定められたテスト禁止規定は明確だし、シーズンが始まればそれに則(のっと)って行動しなければならない。我々が抗議を行なったのは、その点を明確にしておきたかったからだ」

 タイヤエンジニアの意見も同様で、メルセデスAMGが何らかの利益を得ることは可能だろうという。

 フェラーリの浜島裕英エンジニアは「私の想像していることが正しければ、今回のレースパフォーマンスにも影響があったと思います」と語り、マクラーレンの今井弘エンジニアも「我々が1000km走れば当然アドバンテージはありますし、そう考えるのが普通でしょう」と証言する。

 レッドブルのホーナー代表も「(2014年用の作業とは言え)どんな形であれ最新型マシンを走らせれば学べることはある。何も得るものはなかったという主張は信用することができないね」と切り捨てている。

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