【F1】モナコGPを制したチーム、メルセデスに重大な疑惑発生

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

■メルセデスは極秘テストではないと主張

 タイヤ供給メーカーであるピレリには、タイヤの開発テストを行なう権利がある。しかし、これまでは特定のチームの利益にならないよう、2009年型のトヨタF1マシンや2010年型ルノーR30を使用していた。

 だが、この2年間でマシン性能は大きく進化した。それゆえに最新型と旧型ではタイヤにかかる負荷があまりに違いすぎ、シーズンが始まってからさまざまな問題が噴出する原因になっている側面もあったのだ。ピレリが最新型マシンでのテストの重要性を度々主張してきていたのも事実だ。

 そんな中、メルセデスAMGはスペインGPを終えた後にそのままサーキットに留まり、5月15日から3日間にわたってハミルトンとロズベルグの両ドライバーが2013年型マシンW04を走らせた。しかしメルセデスAMGは、これは極秘テストではなかったと主張している。

「これは極秘テストではなくピレリのタイヤテストであり、誰もがコース上を走るマシンを見ることができた。実際、他チームが撤収作業を行なう中で我々はテストの準備を行なっていた。ピレリはFIAとの合意でテストを行なっているし、我々としても自分たちの立場に問題はないと考えている」(ロス・ブラウン代表)

「なぜここまでこのテストの事実が明らかにならなかったのか分からない。我々はガレージやトランスポーターなどすべての機材をサーキットに残し、カバーを被せて隠していたわけでもない。ツイートさえしていた。我々としては秘密にしておく理由などひとつもなかったからね」(トト・ウォルフ、マネージングディレクター)

■テストの主な内容はどんなものだったのか?

 テストの主な内容は「2014年に向けたデータ収集」で、今季用のテストはカナダGPからの投入が予定されている改良型タイヤの作業がわずかに行なわれたのみだという。詳しいテスト内容はメルセデスAMG側には知らされず、収集したデータを役立てることも困難。新パーツを準備する時間的余裕もなかった。そのため「チームがアドバンテージを得ることはない」とブラウン代表は語る。

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