MotoGP最年少優勝。「新たな天才」マルケスはロッシを超える? (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「たとえばホルヘは、予選まであんなに苦労していたのに、決勝レースでは3位まで接近してきた。皆、経験のある選手で彼らには走り慣れたサーキットばかりだけれども、自分には初走行の場所ばかり……。とにかく、これからも最善を尽くしてレースを愉(たの)しんでいきたい」

 次にマルケスが更新する可能性がある記録は、最年少年間チャンピオン。これもフレディ・スペンサーが1983年に樹立して以来、誰にも崩されていない不動の記録(21歳8カ月)だ。

 そういえば、開幕前の事前テストの時期にマルケスと話をしていた際、「スペンサーを彷彿させるという周囲の声に対して、自分ではどう感じる?」という問いを投げかけたことがあった。そのときに彼は、いつものように口元をほころばせ、うれしそうな口調でこう答えた。

「そんなふうに言ってくれるのは、とてもうれしいし誇らしく思う。でも、ぼくは(スペンサーじゃなくて)マルクだよ。年もまだ若くて、MotoGPの経験もない。だから、少しずつ経験を重ねていかなきゃならないんだ」

 その、彼にとっての<少しずつの経験>が、じつはものすごい速さと量で蓄積されていることを、はたして本人はどこまで意識しているのだろう。

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