MotoGP最年少優勝。「新たな天才」マルケスはロッシを超える? (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 これらの言葉から、まだ2回目の実戦にもかかわらず、すでに冷静に戦況を見定め、長丁場のタイヤマネジメントも実施できていることがうかがえる。

 2位に終わったペドロサは
「今日のマルクは卓越していた。いいレースをした。カタールのときもそうだったけれども、序盤から自分の後ろにつけて、安定した走りだった」と、自分を破った後輩に賛辞を贈った。

 3位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)も、同じスペインの後輩が達成した偉業を賞賛した。

「自分はMotoGPデビューのときは3戦連続でPPを取ったけど、決勝レースでは予選と同じように走ることができず、勝ったのはようやく3戦目だった。それよりも早いんだから素晴らしい。マルクはとても強いし、学習能力も高い。(今季の)チャンピオンシップは厳しいものになるだろうね」

 全21周回のレースを終えたウィニングランでも、印象的な出来事があった。勝利の喜びを全身であらわすマルケスに、6位でフィニッシュしたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)が後方から近寄り、がっちりと握手。ロッシは、開幕前からその才能を褒め称えてきた新世代の天才に対してガッツポーズを見せ、大きなエールを贈った。

「すごいね」

 自らは苦戦のレースだったものの、ロッシはマルケスのレースをひとことで評した。

「2戦目だからね。2戦とも表彰台を獲ったのは彼とホルヘだけ。しかも、チャンピオンシップでトップにいる。それはつまり、彼は速い、ということだよ」

 当のマルケス本人はというと、
「勝つことで、僕自身にも少し変化が現れると思う」
 と言う一方で「2戦目で勝てたのはうれしいけど、これから他のコースに行くともっと苦戦するだろう、ということは忘れてはいけない」と自らを戒める。

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