F1バーレーンGPで日本人エンジニアが悔やんだタイヤの選択

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 2ストップ対3ストップ。これが今シーズン開幕から4戦で繰り広げられ続けたレースの構図だ。

 言い換えるならば、それはタイヤに優しいマシンとそうでないマシンの戦い。もろさをはらんだ今年のピレリタイヤをうまく使いこなせる者は、タイヤ交換の回数を減らすことで上位浮上のチャンスを得る。ちょうど開幕戦の勝者キミ・ライコネン(ロータス)がそうであったように。逆に、そうでない者は、マシンの速さでピットストップ1回分のマージンを稼ぎ出さなければならない。

元ブリヂストンの松崎淳がエンジニアを務めているフォースインディア。 第4戦バーレーンGPではポール・ディ・レスタが4位に入った元ブリヂストンの松崎淳がエンジニアを務めているフォースインディア。 第4戦バーレーンGPではポール・ディ・レスタが4位に入った 灼熱のバーレーンでは、各マシンのリアタイヤの性能低下が顕著に進んだ。ピレリは開幕から2戦の結果を受けてバーレーンGPのオプションタイヤをソフトからミディアムに変更した。これによって2ストップ作戦と3ストップ作戦の境界線はより際どいものとなり、タイヤの使い方の善し悪しによる明暗がはっきりと分かれることになったのだ。そんな中で躍進を見せたのが、フォースインディアだった。

 マレーシアGPではホイールナットのトラブルで苦汁をなめたが(2台ともリタイア)、それ以外の3戦では常に4強(レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、ロータス)を食うポジションにつけ、ポイントを獲得し続けているのが彼らだ。その大きな原動力が、タイヤへの理解であることは明らかだ。

 今回、ロータスのライコネンとフォースインディアのポール・ディ・レスタだけが2ストップ作戦を成功させ、ライコネンとディ・レスタは終盤まで2位争いを繰り広げた。予選でポールポジションを獲得しながら、決勝でズルズル後退していったメルセデスAMGのニコ・ロズベルグ(9位)とは対照的だった。

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