【MotoGP】ロッシ、復活の2位で開幕戦から白熱の展開に

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 だが、全周回の折り返し地点11周目にトップのロレンソと8秒以上開いていた差は、そこから一気に縮まってゆく。12周目以降、ロッシは自己ベストタイムを連発して猛チャージを開始。2位争いをしていたペドロサとマルケスに迫り、19周目にはついにペドロサをオーバーテイク。

 20周目にはマルケスと何度か位置を入れ替える激しいバトルを繰り広げた。最後はマルケスを突き放して2位でチェッカー。レースを終えてみれば、やはり彼は意図せざる劇的なドラマを演出していた。

「昨年の最終戦以降、ヤマハ復帰戦のここカタールで表彰台にあがることを目標にしてきた。だからとてもうれしい」とロッシ。「マルク(・マルケス)とのバトルはハードなものになると覚悟していた。ミスを犯さず、とにかく攻めた。ベストはもちろん勝つことだけど、今回の2位はパーフェクトに近いと思う」とホッとした表情を見せ、滑らかな口調でレース展開を振り返った。

激しい戦いを繰り広げたマルケスに対しては「最高峰クラスのデビュー戦でファステストラップを記録した。自分も(2000年開幕戦の南アGPでファステストを)記録したけど、そのあと転倒したからね。マルクのほうがずっとすごいよ」と笑いながらエールを送った。

 そのマルケスはというと、「レース前は、今までになかったくらいものすごく緊張した」と語りながらも、世界の頂点を極める選手たちの自分に対するエールに目をくりくりさせて喜んだ。

序盤の展開は、「予選は6番グリッドだったからスタートが重要だと思ったけど、うまく決めることができなくて、そこから100%で走りつづけた」が、3周目にペドロサの背後につけてからは、「後ろにつけると、同じように走ってついていくことができたし、ラップタイムも上昇した」と振り返った。

「終盤にはバレンティーノがやってきて、とてもいいバトルになった。バレンティーノはやはりバレンティーノで、100%の力を出して彼に食らいつこうと思ったけど、できなかった。今後もこの調子で集中していきたい。ホルヘはとてもコンスタントで速いから、彼を捕まえようと思うともっと高いレベルで安定して走れるようにならなきゃね」

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