【MotoGP】開幕直前。「トップ4」それぞれの思惑

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira photo by Nishimura Akira

■ロッシが分析する自らとライバルたちの現状

 このタイムアタックで、ロッシは上記の新型シャシーを使用。「新型は、いいところもあれば悪いところもある」と指摘した。いいところは、「スタビリティ(安定性)の増加で、悪いところは、コーナーエントリーで損をするところ」だという。結論としては、この車体は開幕戦では使用せず、じっくりテストをできる機会にあらためて見極めたい、という判断のようだ。

 開幕戦のカタールに関しては、「テストが非常に良かったので、開幕戦も高い戦闘力で戦えると思う。サーキットとの相性は悪くないけど、特にスペシャルなコース、というわけでもない。過去には勝った経験もあるけど、『自分のコース』というほどではない。とはいえ、バイクのフィーリングはいいし、カタールのレースは、セッティングの対応面も(砂の浮いた路面状態がセッション毎に改善されてゆくので)重要だね」

 そして、今季のライバルたちとの戦いについては、以下のように予測した。

「マルケス(レプソル・ホンダ)は迫力があるね。すでに充分速い。ペドロサはいつも速い。でも、ここまでの3回のテストでいちばん良かったのはロレンソだ。自分も、この3人と争えると思うよ。開幕後、カタールとオースティン(アメリカスGP)の序盤2戦は苦労するかもしれないけど、第3戦のヘレスからヨーロッパに戻り、伝統的なサーキットで争うようになれば、自分もヤマハも戦闘力は非常に高い。とはいえ、ここまではウィンターテストだし、実際に開幕すれば非常に厳しい戦いが待っているだろうけどね」

■ダニ・ペドロサを筆頭に、ホンダ勢も仕上がりは順調

 一方のホンダ勢はというと、ヤマハのクラッチロー同様にサテライト体制の、MotoGP2年目を迎えるステファン・ブラドル(LCRホンダ)が好調なパフォーマンスを見せている。

 テスト3日目には、クラッチロー、ロッシ、ロレンソ、ペドロサに続き1分39秒台を記録。昨年も才能の片鱗を見せていただけに、ロッシはブラドルに対し「とても強いし、速い。彼の前で走りたいけど、苦労することもあるかもね。とにかく、まだ2年目なんだから落ち着いてゆっくり走りなよ、と言いたいよ(笑)」と冗談交じりにその才能を賞賛した。

 安定した内容を見せているのは、MotoGP8年目で、今年こそ王座獲得の正念場を迎えるペドロサだ。2月のセパンテストからライバルのロレンソとともに高水準の仕上がりで、今回のテストでも淡々とメニューを消化していった。

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