【F1】予想外の展開。開幕戦でロータスが勝利できた理由

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「(フリー走行では)フロントタイヤだけがダメになっていた。だから決勝ではフロントさえ保たせられれば大丈夫だと分かっていたんだ。その点に関してはかなり自信もあった」

 実は、決勝を前に多くのチームが2回ストップ作戦を想定していた。ピレリの分析データもそれを示していた。

 だがレースが始まってみれば、ミディアムタイヤの性能低下が予想よりも早く進み、戦略の変更を余儀なくされた。特にその傾向が酷かったのが、ベッテルだ。

「スタートから最初の数ラップまでは良かった。純粋な速さはあったんだ。予選もすごく良かった。でも、その後すぐにタイヤがタレ始めたんだ。他のみんなほど長く走ることができなかった」

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、タイヤを適正温度にコントロールすることができなかったことがその理由だと説明した。

「(敗因は)単純に、タイヤだよ。今日はタイヤが適正な作動温度領域に入っていなかったんだ。コンディションのせいなのか何なのか、理由は分からないけど、我々はそこに合わせきれなかったんだ」

昨年までよりもその温度幅が広がって扱いやすくなったとはいうものの、途中で雨が降るなど複雑なコンディション変化を見せたメルボルンの路面が、レッドブルの勝機を奪った。

 2回目のピットストップでベッテルを逆転して前に出たアロンソも、2回ストップの作戦を敢行することはできなかった。

「楽なレースじゃなかった。序盤はセバスチャンとフェリペ(・マッサ)、その後は(エイドリアン・)スーティル(フォースインディア)に引っかかって、難しい場面も何度かあった。それがなければ、もう少し長く走れたかもしれないし、2ストップ作戦も可能だったかもしれない。僕らが今後どうすべきなのか、今日のレースをしっかりと分析しなければならないだろう」

 前走車の後ろについて走れば、それだけダウンフォースは減ってタイヤへの負担は大きくなる。

 逆に、淡々と自分のペースで走り続けたライコネンのタイヤは、大きなストレスを受けることもなくより長く保たせることができた。そしてなにより、タイヤに優しいロータスのマシン特性こそが最大の武器になった。

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