【MotoGP】オールジャパン体制が誕生。「イデミツ・ホンダ・チームアジア」の可能性 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira photo by Nishimura Akira

 チーム監督の岡田忠之の視野も、冒頭に述べたとおり、アジア全体に向いている。将来的にはアジア諸国の能力の高い選手を登用していきたい、と公言し、「日本はあくまで、アジアのなかの一国、という位置づけ」と話す。彼らを支える出光興産側もその挑戦の困難さを理解しているだけに、拙速な結果を求めているわけではないようだ。

「当然ながら、ビジネスにはつなげてゆきたいと考えています。そのためにも、アジアのストーリーとしてチームは徐々に成績が上昇していき、我々も販売の実績が徐々に右肩上がりになっていけばうれしい。だから、1年では終わりたくないですよね。お金がかかることなので何年と明言はできませんが、条件が合う限り2年、3年、と我々も長期的に考えています」

 3月18日から21日まで、スペインのヘレスサーキットで、開幕に向けた最終調整となる合同テストが行なわれる。誕生したばかりの「イデミツ・ホンダ・チームアジア」にとって、これが3回目のテストだ。2月のテストはマシンセッティング以前の段階で、走行データの収集や開発方向の見極めに終始した。

 経験豊富な他陣営と比べると、不利な状況であることは否めない。このときに岡田は、「3月のテストでセッティングを進めてレベルをあげてゆき、トップに近い位置で走れることを目指したい」と話した。

 今回のテストで、チームはスタートラインのいったいどのあたりに位置しているのか、ということが明らかになるだろう。そして、その場所から岡田たちと出光興産の長い戦いが始まる。

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