【F1】混戦確定?全チームがタイヤを使いこなせないままテスト終了 (2ページ目)
例年ならばテストの間にマシンの基本的な確認作業を終え、セットアップを煮詰めたうえで、レースと同様に305kmを走破するレースシミュレーションを行なう。そこから掛け値無しの勢力図が見えてくるものだ。
しかし、今年はそれを行なっていないチームが複数存在する。フェラーリ、マクラーレン、メルセデスなどがそうだ。彼らはマシンの習熟のみに専念し、セットアップが不充分な状態でのレースシミュレーションには踏み切らなかった。
というのも、タイヤが極めて敏感で、1周後には0.5秒から1秒単位でペースが落ちていくという状況にあったからだ。これでは、レースシミュレーションを行なっても実用的なデータは得られず無意味だと彼らは判断したのだ。それが実戦よりも気温が10度ほど低いコンディションのせいなのか、今季のタイヤ本来の素性なのかは、まだ分かっていない......。
「我々は自分たちのプログラムだけに集中してきた。速いタイムを記録するマシンもいたが、正直言って我々は自分たちのマシンのことしか考えてない」(フェラーリ・テクニカルディレクター、パット・フライ)
「5000km以上のテスト走行のほとんどは、設計上の想定値と実走状態の差の擦り合わせに費やした」(マクラーレン・スポーティングディレクター、サム・マイケル)
また、王者レッドブルはテストで目立ったタイムを残しておらず、苦戦しているとの声もあがり始めたが、チームの雰囲気はさほど沈んではいない。単純にタイヤのせいで十分なテストができていないだけだとセバスチャン・ベッテルは言う。
「タイヤがこれだけ大きくタレる状態だから、セットアップの善し悪しやクルマの方向性を判断するのはとても難しい。やりたかったことがすべてやれたわけじゃない。だからこそ、現状のラップタイムはまったく重要ではないんだけどね。タイヤが1周以上保つようになれば、各マシンのペースも見えてくるはずだ。開幕戦までにまだ時間はあるし、データを分析して準備を整えたい」
昨年、ベッテルとタイトルを争ったフェルナンド・アロンソは、フェラーリはまだトップ争いができる状況にはないと見ているようだ。しかし、昨年序盤のような出遅れはなく、「昨シーズンはあの出だしからランキング2位になれたのだから、もう少し良いスタートが切れればタイトル争いができる」と自信を見せている。
「フェラーリは最速のマシンではないかもしれない。でも去年のように(開幕戦の予選で)トップから1.6秒も遅れているなんてことはない。(去年型マシンよりも)コンマ7、8秒は縮められたはずだし、去年の最終戦の時点でのトップと僕たちの差は縮めたことになる。だから今年は去年よりも良いポジションからスタートできるはずだ。テストはテストでしかないし、ライバルたちも含めた勢力図はまだはっきりとは見えないけどね」
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