【MotoGP】復活ロッシ、自分によく似た新鋭の登場を喜ぶ

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Nishimura Akira

「とても面白かったよ」とロッシ。「ああいう場合はギブアンドテイクで、自分が与えるものもあるけど、得るものもまた、あるんだ。彼のライディングスタイルはわくわくさせるものがあって、とても楽しかった。アグレッシブで、とてもいいね」

 ギブアンドテイク、とロッシはいうものの、そこから得たものの量はマルケスのほうが圧倒的に多かったにちがいない。

「経験豊富なライダーを目の当たりにして、ほんの数周だけどものすごくたくさんのことを学べた」と、マルケスは目を輝かせながら笑顔でその周回を振り返った。

「とくにライディングスタイル。コーナーによっては、僕はまだとっちらかってしまうんだけど、バレンティーノはもっと易々(やすやす)と、そして速く走ってゆく。僕の走行ラインは限界ぎりぎりだけど、彼には余裕がある。わずかの周回でも多くのことを学べて、すごく楽しかった」

 このマルケスのアグレッシブさについて、ロッシは以下のように評する。

「すでに充分速いけれども、なにより特徴的なのは、バイクがスライドしはじめたら、ひじを使って立て直すところ。ライディングスタイルが新しいんだよ。彼と比べると、自分やホルヘはもっとクラシックな乗り方で、マルケスはそこがちょっと違うんだ。毎コーナーでひじを擦る姿は、レースを観ている人たちにとってもきっと愉しいと思うよ」

 一風変わった師弟愛のようなこの関係が、<新・四強時代>の戦いにどのような華を添えてゆくのか。2013年シーズンは、今までになかった新鮮な戦いの構図が生まれようとしている。

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