【MotoGP】新人マルケスと復活ロッシ。2013年は「新4強時代」 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 250馬力にも及ぶMotoGPのマシン操作について、「最も苦労したのはブレーキングポイント。一周だけなら大丈夫だけど、毎周コンスタントにハードなブレーキングポイントを保ち続けることがとても難しい。今日はとくにこの点に集中して取り組んだ。バイクはとても高い性能があるけれども、今は乗り方に順応している段階なので、まだ僕はバイクの性能の限界を引き出せていない」と話すように、ルーキーは自己分析もできている。

「新しいことを学ぶのはとても愉(たの)しい。ピットアウトするたびに、何か新しいものをつかむことができるんだ」

 快活に言うマルケスの口ぶりこそ謙虚だが、そこで語られている言葉の内容を考えれば、開幕戦から優勝争いの一角に加わっても当然だろう、とも思わせる。

 マルケスは、最終日にレースシミュレーションも実施して総合4番手のタイムで終えた。今回のテストでは、マルケスはほとんど電子制御を効かさない<素の状態>のバイクで周回を重ね、MotoGPマシンの特性把握に努めたという。

「電子制御のない状態を知っているほうが、どこでバイクの電子制御が必要なのか、どこで効いているのか、ということを理解できる。自分はまだ、制御のことはわかっていない。今はライディングスタイルをバイクに適応させようとしている段階で、理解は日々進んでいるから、次のテストではもっと順応していると思う。一歩ずつMotoGPについて理解ができていると思うし、プレシーズンはまだ時間があるので、この調子で進んでいきたい」

 この19歳のマルケスの高いポテンシャルを興味深く眺めていたのが、ヤマハに復帰して自らも本来のパフォーマンスを復活させつつある33歳のバレンティーノ・ロッシだ。

「彼がシーズン初戦から優勝争いをするだろう、ということは3カ月前(2012年シーズン終了後)から思っていたよ。最初の年からチャンピオンを獲得しようとしているかのような姿勢は好ましいし、とてもいいことだと思う」

 そして、今のマルケスは500ccクラスにステップアップしたときの自分と相通ずるものがある、と20歳当時の己の姿にも重ね合わせた。

「マルケスが末恐ろしいのは、彼はまだ若いからこれからどんどん成長していく余地がある、というところなんだ」

 そう語る一方で、自らがヤマハに復帰してロレンソやペドロサに追随するタイムをマークできたことについては、心底安心した、というのが正直な心境のようだ。

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