【F1】小林可夢偉、母国GPへの思い。「表彰台に乗って当然」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 あの可夢偉が人前で涙を流す。とても想像できないようなシーンだが、裏返せば、そのくらいここまでひとり辛い思いを抱えてきたということだ。

「鈴鹿には気合いを入れていく」。シンガポールのレース直後にそう言うと、可夢偉の最も良き理解者であるチームCEOのモニシャ・カルテンボーンは、笑ってそんな可夢偉をたしなめた。

「さっきモニシャに『気合いは入れるな』って言われました(笑)。気合いを入れるとロクなことがないから、『気を抜いていけ』って(笑)」

 平常心で、いつも通りの走りができれば十分。それだけで、十分に表彰台に値するものを、今の可夢偉は持っている。モニシャはそのことをよく知っている。

「鈴鹿の周りの焼き肉屋さんに、ジャンジャン焼き……いま考えただけでヨダレが出そうです(笑)」

 可夢偉自身がそうであるように、日本のファンもここまでの“不発”をヤキモキした思いで見詰めている。その思いを、ぜひとも鈴鹿で晴らしてほしい。

 平常心で、いつも通りの可夢偉で、ぜひ鈴鹿では我々に感動を与える最高のレースを見せてもらいたい。

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