【F1】残り6戦、抜け出すのは誰か?佳境を迎えるチャンピオン争いの行方 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki   桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 この激戦の中で首位に立つアロンソは、フェラーリのマシンが最速ではないことを認めている。

「上位争いのライバルたちの中で言えば、僕のマシンは明らかに最も遅い。ポイント上はアドバンテージを持っているけど、パフォーマンス的には不利がある。シンガポールではトップ争いができると期待していたし、今回のパフォーマンス(予選5位・決勝3位)には不満だ。まだまだマシンを改善する必要がある」

 しかしアロンソはレース巧者ぶりを発揮し、着実にポイントを重ねてリードを守っている。

「僕らは目の前のレースだけじゃなく、チャンピオンシップを戦っているんだ。ライバルより前でゴールすることを考えて、自分たちのレースをするだけだ。今回はタイトル候補のライバル4人のうち、僕はひとり(ベッテル)に対してポイントを失ったが、3人に対してはポイントを稼いだんだ。僕にとってはいいことだし、こんなレースが続いてくれれば良いよ」

 現状でマシン性能が最も優れているのは、マクラーレンだろう。それはアロンソもベッテルも認める共通認識だ。

「今週末の僕らは、おそらく最速のパッケージではなかった。今はマクラーレンが最速のクルマで、フェラーリは少しオールラウンダー的なクルマだろう。彼らは常に上位にいて、確実にポイントを稼いでいく。だから僕らも確実に完走していかなければならないし、信頼性がすごく重要になるだろう」(ベッテル)

 しかし、レッドブルとて手をこまねいてばかりはいない。残り6戦に向けて、さらにマシン開発を加速させていく計画を用意している。

「マクラーレンがドイツGPから大きく進歩したことは事実だが、我々も残り6戦では毎戦なにかしら新しいパーツを入れてクルマを速くしていくし、準備万端だ。フェルナンド(・アロンソ)からポイントを奪っていくつもりだ」(クリスチャン・ホーナー代表)

 一方、ハミルトンとてあきらめてはいない。

「今回のリタイアで大きなポイントを失ったことはガッカリだけど、これだけ速かったことはポジティブだ。次もどんどん行けるはずだ。フェルナンドやセバスチャンが完走し続けたらポイント差を縮めるのは簡単じゃないけど、僕は最後まであきらめないよ。ここまでリタイアやクラッシュが何度もあったけど、これで不運が終わることを祈っている。残り6戦、すべて勝つつもりでいかないとね」

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