【F1】残り6戦、抜け出すのは誰か?
佳境を迎えるチャンピオン争いの行方

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki   桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

シンガポールGPで優勝したベッテル(左)と3位に入ったアロンソ。シンガポールGPで優勝したベッテル(左)と3位に入ったアロンソ。 混沌の2012年シーズンは、ヨーロッパラウンドが終わり終盤フライアウェイ戦へと突入した。

 その初戦となるシンガポールGPを制したのは、レッドブルのセバスチャン・ベッテル。

 予選でポールポジションを奪い決勝レース序盤をリードしたのは、過去3戦を制しているマクラーレンだった。しかし、そのルイス・ハミルトン(マクラーレン)がギアボックスのトラブルで痛恨のリタイア。代わって、2位を走っていたベッテルが勝利をもぎ取った。

 ハミルトンはライバルたちよりも少ないピットストップ回数を想定した戦略を採るなど、純粋なペースでは他を凌駕していた。

「レースを走り切ることができなくて、とてもガッカリだ。今週は間違いなく勝てる速さがあったのにね。リタイアする前も、後ろを見ながらクルージングしていたんだ」

 マクラーレンのタイヤ戦略を司る今井弘エンジニアも、勝てるレースだったと悔しがった。

「今日は勝てたレースでした。我々は最初から2ストップ作戦で、レースコントロールできていましたから。11周目にルイスが違和感を訴えたので、予定よりも早めに交換しましたが、まだ2ストップで行ける範囲内でしたし、タイヤのライフ(寿命)には不安はありませんでした。余裕でとは言わないまでも、十分に勝てたレースでしたね」

 ハミルトンはこのリタイアによって、ドライバーズランキング4位に後退した。2位はベッテル、3位は未勝利ながら安定してポイントを重ねているキミ・ライコネン(ロータス)、そして頭ひとつ抜け出してリードしているのが、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)だ。首位アロンソの194点から、5位マーク・ウェバー(レッドブル)132点、6位ジェンソン・バトン(マクラーレン)119点まで、5人もしくは6人がチャンピオン争いの中にいる。

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