【MotoGP】天才ロッシの能力は錆びつかず。地元で今季最高の2位獲得

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

生まれ故郷近くのサンマリノグランプリで2位表彰台を獲得し喜ぶロッシ生まれ故郷近くのサンマリノグランプリで2位表彰台を獲得し喜ぶロッシ ホームグランプリで地元の選手が活躍する姿は、見ていて気持ちがいい。さらにそれが、低迷を続けたスーパースターとくれば、彼を信じて応援し続けてきたファンはおおいに溜飲をさげたにちがいない。おそらく、当のバレンティーノ・ロッシ自身すら、今回の第13戦サンマリノGPで2位表彰台を獲得できるとは予想をしていなかっただろう。

 なにしろ、ロッシがホームグランプリで毎回披露する、スペシャルヘルメットの今回のデザインは「ボクシングの対戦相手にボコボコにされすぎて戦況を理解できなくなっている選手がコーナーに戻ってきて『どうだ、オレはちゃんと戦えているか?』とトレーナーに訊ねている姿」を図案化したものだったのだから。

 このアイディアが、ドゥカティで苦戦を続ける自分たちの姿を重ねあわせた自虐的なジョークであることは、いうまでもない。

 開幕以来、さまざまな手を施しても改善の兆しをまったく見せないドゥカティ・デスモセディチに手を焼き、なかば愛想を尽かしてしまった彼の姿は、これまでに何度も紹介してきた。

 実際には第4戦フランスGPで2位表彰台を獲得しているが、これはあくまでもレインコンディションという特殊な状況下での結果だ。ドライコンディションで思いどおりに走れない、という課題は、プレシーズンテストの段階から一貫している。

 タイヤへの攻撃性が強いためにレース終盤までタイヤが保たないこと、コーナー進入時はブレーキングで踏ん張れず、旋回中にアンダーステアで大きくはらんでしまい、そして立ち上がりではスピニングが激しく充分なトラクションを路面に伝えられない......等々の症状を、ロッシはずっと訴え続けてきた。

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