【F1】前半戦総括。混戦を抜け出す最速チームはどこか? (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 後方からのスタートでは、前のマシンに邪魔されて自由なレースができない。逆に、前からスタートすれば自分のペースで走ることができる。そのおかげで勝てたのがドイツGPのアロンソであり、スペインGPのウイリアムズのマルドナドだった。その他のレースでも、ほとんどの勝者がポールトゥウィンだ。それ以外の、豪雨のマレーシアやトラブル続出のバレンシアなど、荒れたレースを制したのがアロンソであり、その勝利が今の選手権リードにつながっているのだ。

 では、現状の最速マシンはどれか?

 パドックでは、レッドブルとマクラーレンが最速との見方がなされている。それは通常のドライコンディションで行なわれた際の予選の結果を見れば、明らかだ。シーズン序盤戦はマクラーレン、バーレーンGP以降はレッドブルが上位を占めている。

 ただし、それぞれに本来のポテンシャルを引き出し切れない時がある。ピレリタイヤが新しくなり、また、オフスロットル時のエンジン排気を空力に利用することが禁止された今季は、各チームともマシンをコントロールしきれないでいるのだ。昨年あれだけ予選で驚異的速さを見せたベッテルが頻繁に口にするのは、「マシンのグリップバランスが完璧ではなく挙動が不安定で、自信を持って攻めきれない」という問題点だ。

「マシンに速さはあるけど、マシンバランスをとるのに苦労したんだ。(ハンガリーでは)金曜は良かったのに土曜の朝はダメで、午後の予選では少しマシになった。でもアタックが完璧にいかなかった。レースペースはすごく良かったから、予選でもう1、2ステップ前に行けていれば、今日のレースはまったく違ったものになったはずだ」

 ハンガリーGPでは圧倒的な速さを見せ、ハミルトンが優勝したマクラーレンだが、完全にほかのマシンを引き離したとは思っていない。

「レースを通してロータス勢のプレッシャーを受け続けた。きちんと差をコントロールできていたとはいえ、ペースを落とさずにタイヤをいたわらなければならなかったから、トリッキーなレースだったよ。まだまだ僕らにはやるべきことはたくさんある」(ハミルトン)

 そして、マシンの純粋なパフォーマンスでこの2強に続くのは、フェラーリではなくロータスだ。

 予選で性能を発揮しきれずに中団からのスタートになることも多いが、レースでのペースは速く、終わってみれば常に上位まで追いついてくる。まだ勝利こそ手にしていないが、すでに2台で合計8回の表彰台を獲得。予選がうまくいき始めれば、決勝でもさらに上に来るはずだと2強チームも警戒している。

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