【MotoGP】来季移籍はほぼ決定!?ロッシが探し求める「最後の花道」 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 現在のロッシは、選手生活の引き際を飾る花道を探している状態だ。もちろん自らの能力には自信を持っているが、ヤマハのマシンに跨(また)がればかつてのように絶対不可侵の王座へ返り咲くことができる、と考えるほど無邪気ではない。チャンピオン奪取はさすがに難しいかもしれないが、それでも毎戦表彰台を争う能力はまだ備えているはず、というあたりが彼の今の自己評価だろう。そして、その実力を世間に知らしめるための場所を求めて、2013年の去就に悩んできたのだろう。

 第10戦の決勝レースで、周回ごとにトップグループから引き離されて単独8番手、9番手という低い位置を走りながら、ドゥカティのマシン・デスモセディチと苦闘するロッシの脳裏には何が去来していただろうか。

 優勝を飾ったケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ)や2位のロレンソが32周回のレースで終始1分21秒台を刻みながらバトルを繰り広げていた一方で、自分は1分22秒台後半を維持することができず、そればかりか1分23秒台で走ることにも苦労した挙げ句に、昨年から一向に改善されないフロントの不安定感から転倒を喫してしまったとき、ロッシの心を繋ぎ止めていた何かは、ついに音を立てて切れてしまったのではないだろうか。

 ドゥカティにはバレンティーノ・ロッシが必要だ。しかし、バレンティーノ・ロッシにはもはや、ドゥカティは必要ではないのだろう。

 バレンティーノ・ロッシはおそらくいま、ヤマハを必要としている。だがはたして、ヤマハはバレンティーノ・ロッシを必要としているだろうか。

 2013年の彼の去就は第11戦インディアナポリスGPの前、このサマーブレイクの2週間のうちに発表されるだろう、といわれている。

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