【MotoGP】まさに互角。ロレンソ、ペドロサ、ストーナー「3強」の争い (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「最終ラップでは1コーナーで少しミスをしてしまったけれども、それでも問題なく充分にダニについていくことができた。坂を下ってきた(第12)コーナーでパスをするのは難しかったので、そこでは後ろにつけたまま最終(第13)コーナーで抜くつもりだった。できる自信もあった。でも、その12コーナーでフロントが切れ込んで転んでしまった......」

 レースを終えて、レザースーツからチームウェアに着替えたストーナーは、そう言いながら苦笑を浮かべた。転倒は自分のミス、ともストーナーは話しており、その苦笑はおそらく自分自身に向けられたものでもあるのだろう。

 しかし、ストーナーがたとえ12コーナーで転倒をしなかったとしても、13コーナーでこの日のペドロサを果たしてオーバーテイクできていたかどうか。事実として起こりえなかった以上、たしかにどのような想像も不可能ではない。

 とはいえ、最終ラップ1コーナーでストーナーが犯したミスは、ペドロサの背後でチャンスをうかがいながら追走していたために発生したのであろう、ということや、そもそも、その最終ラップでペドロサがレース中のファステストラップタイムを更新している事実も併せて考えれば、今回のストーナーの転倒は、運のなさや偶然のいたずらというよりもむしろ、必然の積み重ねで生じた結果、といったほうがいいかもしれない。

 それほど、今回のペドロサは速かった。得意コースという要素もあって、本人も今回のレースには相当な自信を持って臨んでいたようだ。優勝後、ウィニングランやパルクフェルメ(レース後に、表彰台獲得者のバイクを停める場所)では、何度もガッツポーズを見せて感情を爆発させた。

「2位や3位も悪くはないけど、勝つのはやっぱり格別だよ」

 そう語るペドロサの表情は、本当にうれしそうだった。今シーズンはここまでの8戦でフランスGP以外は全戦で表彰台を獲得しているが、優勝は昨年第15戦日本GP以来だから、じつに10戦ぶり、ということになる。

「今日は完璧なレースだった。チームが全力でがんばってくれているのにこんなに長い間勝てないでいたのは、本当に苦しかった。自分のためだけじゃなく、皆のためにも勝てて本当にうれしい」

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