【F1】産みの苦しみ。可夢偉が成長途上のチームに怒った原因とは? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかし、その速さを結果に結びつけ切れていないのが、今のザウバーだ。

「今回もクルマはすごくよかったんで、みんなと同じタイヤを付けていればみんなより良いタイムが出せるのは分かってました。かなり速かったし、マジで……速かった(かなり良い結果が出せた)と思いますよ。このチャンスを逃したのはデカいな……」

 どこかでトラブルが起きたり、戦略ミスがあったり。これまでは中団争いだったからこそ目立ちはしなかったが、今年は上位、そして表彰台を狙えるレースをしているからこそ、トップチームと比較して見劣りする面が目立つようになった。可夢偉とエンジニアの意思疎通レベルも、日本的に言えば阿吽(あうん)の呼吸でものごとを進められるような、さらなるレベルアップが必要になってきた。

 チームやエンジニア、そしてドライバーというのは、こうしたプロセスを経て成長していくものなのかもしれない。

「レッドブルやフェラーリと戦うのは厳しかったと思いますけど、ロータスとは戦えたと思いますね。それは良いことなんですけど、(現実には)僕らがそこに行けてないっていう悔しさもあるし、そこはこれからしっかりリズムを取り戻していかないと行けないなと思いますね……」

 いわば、産みの苦しみ。それが今の可夢偉とザウバーなのかもしれない。これを乗り越えてさらに一歩前進することができれば、大化けする可能性も十分にある。

 願わくは、手遅れになる前に目標とする地点に到達してもらいたいものだ。

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