【MotoGP】これぞ名勝負。ロッシがストーナーとのバトルを制して復活の2位 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今回の第4戦フランスGPで、両者の戦いは昨年の転倒劇を連想させるシチュエーションにもなったが、案の定、ふたりの脳裏には一年前の出来事が去来した、という。

「残念ながら、去年のヘレスでは表彰台争いの最中に未熟なライダーのような失敗を犯して、ケーシーを転倒に巻き込んでしまった。今回は、ケーシーが良いペースだったから彼の背後についてホルヘに追いつこうと思っていたのだけど、その間じゅう、去年のミスのことがずっと頭の中にあったよ(苦笑)」(ロッシ)

「レース序盤、自分はフィーリングがあまりよくない状態で、早いうちからバレンティーノが後ろにいる音も聞こえていたので、これは狙ってくるだろうと思ったのだけど、そうはならなかった。それで、『ああ、あのときのことを思い出しているんだな』とすぐにわかったよ(笑)。でも、レース終盤にふたたび彼が仕掛けてきたときには、もうあのことは考えてなかったんだろうね」(ストーナー)

 ともに、過去の因縁を愉しそうに振り返りながら、笑顔でこの日の駆け引きを振り返った。引退の決意を発表して積年の悩みを払拭したストーナーの安堵と、自分の技倆はまだトップクラスにあることを証明できたロッシの安心が、積年の確執をこの雨で洗い流したのだろう。

 2012年シーズンは4戦を終えて、まだ14戦残されている。彼らの清々しく激しいバトルは、あと何回見ることができるだろうか。

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