【MotoGP】開幕戦はヤマハのロレンソ!ホンダのストーナー、急失速の意外な原因は? (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 その一方で、「開幕戦のカタールはケーシーの得意コースなので、彼にいつものペースで序盤から独走されたら、さすがにちょっと追いつけないかもしれない」と一抹の不安も吐露していた。

 そのような経緯を経て迎えた開幕戦の決勝日は、レース前のウォームアップ走行でストーナーとチームメイトのダニ・ペドロサがともに安定した走行を見せ、彼らを悩ませていたチャタリングの問題はひとまず解決の方向へ向かっているようだった。

 決勝レースでも、ストーナーはPPスタートのロレンソから3周目にトップの座を奪い、着々とタイム差を広げていく中盤までの展開は、今まで何度も見てきた圧勝パターンにも見えた。

 だが、そのストーナーは、右手の腕上がり(筋肉が疲労して力が入らなくなる状態)という予想外の症状を抱えながらの走行になり、最後には「ストレートでスロットルを開け続けているのも困難だった」とレース後に話したほど。その原因は、決勝で使用した新品のグラブがややキツめだったことで、それが周回を重ねるごとにブレーキの酷使と相まって疲労を蓄積させ、タイムを落としてゆく結果になったのだという。

 この腕上がりがなければ、ストーナーが独走態勢を築けていたかどうかは不明だが、ヤマハ発動機中島が期待したとおりのレース運びで優勝を飾ったロレンソは、笑みをうかべながらも落ち着いた様子でレース展開を振り返った。

「レース中盤は苦しかったけど、最後まで諦めず、絶対にできると自分に言い聞かせて一定のペースでプッシュし続けた。ダニが後ろから迫っているのも判っていたので、ケーシーを抜いた後は全力でプッシュした。今回は、レースウィークを通じて自信を持って走ることができたよ」

 次戦のスペイン・ヘレスサーキットでは、ロレンソが2年連続優勝を飾っている。だが、当のロレンソ自身は「でも、あそこはダニの得意コースでもあるから」と警戒感を怠らない。

 腕上がりが解決すれば、チャンピオンのストーナーも当然、有力な優勝候補だ。今季のMotoGPも、彼ら3名を中心に推移してゆくことは間違いないだろう。

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