【MotoGP】王座奪還の可能性は?
ロッシが分析する各チームの戦力

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • photo by Getty Images

ヘレスでの3日間のテストでも、上位のタイムを出せなかったドゥカティヘレスでの3日間のテストでも、上位のタイムを出せなかったドゥカティ 年明け1回目のセパンテストでは非常にポジティブな手応えを掴んだものの、2回目のセパンテストでは昨年の再来を思わせる悪状況に一転。今回のヘレスでは、3日間のテストを終えてトップのストーナーから0.953秒差の6番手につけた。最悪の窮地は脱しつつあるようだが、それでもコースサイドでマシンの挙動を観察していると"日暮れてなお道遠し"といった印象もある。

 3日間の走行を終えて、ロッシ自身は、
「フロントのフィーリングは良くなってきた。自信をもってフロントに加重していけるようになったんだ。でも、最大の問題はアンダーステア(旋回時に外側へ大きくふくらんでしまう挙動のこと)で、全然改善しない。これはこのバイクのDNAなのかもしれないね」と苦笑を漏らす。

 とはいえ、この3日間で一歩ずつ、ある程度の前進を果たせたことは好材料だ、と前向きな姿勢を見せる。

「最初のセパンテストは非常に楽観的な結果で、2回目のセパンでは間違った方向に行ってしまって最悪になった。今回はそのときのベースから始めたので、取り戻していくのに時間を費やしてしまった。昨日が晴れていたら今日はもっといいタイムを刻めていたと思うよ。今日の結果の6番手が、現在の自分たちの正直なポテンシャルだろうね」

 目前に迫った開幕戦カタールの展開についても、楽観視することもなく、かといって悲観することもなく、淡々と予想をする。

「表彰台争いという意味では、ストーナー、ロレンソ、ペドロサが圧倒的に速いだろうね。そこからやや下がって、ベン・スピース(ヤマハ・ファクトリー)やカル・クラッチロー(ヤマハ・テック3)。彼らもぼくたちより少し速いと思う。ぼくたちはさらにその後を、他の選手たちと走ることになるだろうね。これが自分たちの現状さ」

 冷静で客観的な分析、といってしまえばそれまでだが、それは彼の話を聞く我々が、現在の苦境を淡々と語る彼の姿に慣れてしまった、ということでもある。

 過去、MotoGPで6度もチャンピオンを獲得している"あのバレンティーノ・ロッシ"が苦戦を強いられていることには、今さら特に驚くに値しない。むしろ驚くべきなのは、中盤あたりに沈むであろう彼の姿を想像しても、我々も世界中のファンも、そしておそらくはバレンティーノ・ロッシ自身も、それを当然のこととして受け止めている、という事実のほうだろう。

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