【MotoGP】王座奪回へ。バレンティーノ・ロッシがセパンで語った本音 (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

マシン開発は順調だが、ホンダ、ヤマハとはまだタイム差があるドゥカティマシン開発は順調だが、ホンダ、ヤマハとはまだタイム差があるドゥカティ
 以下、この3日間に彼が発した言葉を一部紹介したい。プレスリリース等の公的文書にはあらわれない、彼の生の感情の動きをくみ取っていただければ幸いである。

テスト1日目 5th, 2'02.392, +0.735(トップタイム:ホルヘ・ロレンソ:2'01.657)
「トップのロレンソから0.7秒差だから、いいと思うよ。今日は2011年に抱えていた問題を解決できたのでハッピーだ。ブレーキングとコーナー進入が劇的にいい。タイヤも良く作動している。ただ、コーナーからの立ち上がり加速ではまだ挙動が不安定になる。エンジンと電子制御、それに車体も少し関係しているのかもしれない。でも、これも解決できると思う。まだ初日で明日以降やることがたくさんあるけど、ベースはいい。大事なことは、今日、バイクが良くなったということだ。去年はよくても現状維持で、あとは悪くなるだけだったから、それと比べると大進歩だよ(笑)」

テスト2日目 7th, 2'01.886, +0.991(トップタイム:ケーシー・ストーナー:2'00.895)
「昨日からさらに前進した。今日の目標は2分01秒台に入れることだったので、ポジティブな1日だった。旋回時にややアンダーステアが出ることや、立ち上がりの加速の問題も残っているけど、これはバイク自体に手をいれなければならない部分で、現場のセッティングで解決できることではないから、もう少し時間がかかるかもね。でも、去年抱えていた問題の50%は解決できたと思う。ホンダとヤマハはたしかに速いけど、彼らは1年かけてここまでバイクを作ってきたわけで、それと比べるとこっちのバイクは新品だからね。明日はもっとプッシュして、差を見極めたい。トップから1秒以内につけることができればハッピーかな」

テスト3日目 5th, 2'00.824, +1.217(トップタイム:ケーシー・ストーナー:1'59.607)
「去年はとにかくフラストレーションのたまる1年だった。リザルトだけじゃなく、どれだけ頑張ってもバイクがまるでよくならなかったから。でも今回のテストは3日間乗って、ラップタイムがどんどん良くなった。ストーナーを別とすれば、ほかの上位陣とはそんなに離れていないし、初日はロレンソから0.7秒差で、3日目が終わっても0.7秒差というのは、なかなかポジティブな結果と言えるんじゃないかな。抱えている2、3の問題を解決できれば、上位陣にもっと近づける。旋回性については、ヤマハがベストだと思う。ホンダとの比較では、古い記憶だけど(笑)、2003年のマシンと比較すればそんなに劣っていないと思う。僕たちのエンジンは悪くない。速いよ」

 この3日間の彼の言葉は、ホンダからヤマハへ移籍していきなりチャンピオンを獲った2004年、最初のセパンテストで発していたコメントに近い印象がある。リザルトの数字にめぼしいものはないものの、その内容の濃さを述べる前向きな雰囲気がそう思わせるのだろうか。

 2004年のような劇的な出来事はそうそう起こるものでもないだろうが、ともあれ、2月28日から3日間のスケジュールで行なわれる2回目のセパンテストでのバレンティーノ・ロッシとドゥカティの動静は、注目に値する。

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