【MotoGP】王座奪回へ。
バレンティーノ・ロッシがセパンで語った本音

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

ドゥカティに移籍して2年目の2012シーズンは、ロッシにとって王座に返り咲くための正念場となるドゥカティに移籍して2年目の2012シーズンは、ロッシにとって王座に返り咲くための正念場となる
 2012年シーズン最初のプレシーズンテストは、例年になく大きな注目を集めた3日間になった。

 今年からマシンに関するレギュレーションが大幅に変更され、排気量が昨年までの800ccから上限1000ccへと引き上げられることと、市販車改造エンジンと独自フレームのマシンで参戦するチーム(Claiming Rule Teams/略称CRT)がワークスチームと混走すること等々の話題で、例年以上に大勢の報道陣がマレーシア・セパンサーキットに集まった。

 1月31日から2月2日までの3日間行なわれた今回のテストは、昨年のチャンピオン、ケーシー・ストーナー(レプソル・ホンダ)が3日目にひとりだけあっさりと2分の壁を破り、1分59秒607を記録。2番手タイムの2010年王者ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー)に0.591秒もの差をつけた。ホンダRC213Vのパフォーマンスは上々で、ストーナーとホンダのコンビは今年もチャンピオン最有力候補であることを強烈に印象づけた。

 だが、今回のテストでひときわ注目を集めたのは、昨年秋から大急ぎでニューマシンのデスモセディチGP12を仕上げてきたドゥカティワークス、バレンティーノ・ロッシだ。

 ホンダ、ヤマハで世界タイトルを何度も制覇してきたスーパースターがオールイタリアンブランドで挑んだ昨年は、マシン開発が迷走を続けてレースキャリア最悪の苦戦を強いられた。それだけに、今回のテストで投入したGP12には、乾坤一擲の大勝負といった感も漂っていた。

 ロッシのインプレッションはというと、リップサービスやカモフラージュではなく、本当に手応えをつかんだ様子が、言葉の端々やそれを語る際の雰囲気からもはっきりと窺えた。去年1年間続いた戸惑いや自嘲気味の言葉が嘘のような明朗快活なコメントで、窮地を脱しつつあることはラップタイムにも現れている。

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