『ウマ娘』でも描かれる強豪ライバルたちとの激闘 グラスワンダーが宿敵と演じた伝説の「大接戦」 (2ページ目)
そのスペシャルウィークと、グラスワンダーも歴史に残る名勝負を演じている。とりわけ伝説的な一戦として知られるのは、2頭にとって「最後の直接対決」となった1999年のGI有馬記念(中山・芝2500m)だ。
実は、この両雄が同じレースで戦ったのは2度しかない。初対決は、5歳となった1999年の夏。舞台は7月のGI宝塚記念(阪神・芝2200m)だった。1番人気スペシャルウィーク、2番人気グラスワンダーで迎えたこの一戦は、好位につけたスペシャルウィークの後ろを徹底マークして運んだグラスワンダーが直線で一気にかわし、3馬身差をつけて快勝した。
それから5カ月半の時を経て再戦したのが、有馬記念だった。直前の単勝オッズは、グラスワンダーが2.8倍の1番人気、スペシャルウィークが3.0倍の2番人気。宝塚記念同様、2頭の一騎討ちムードという様相だった。
レースがスタートすると、2頭の位置取りに観客がどよめいた。14頭立ての11番手につけたグラスに対し、スペシャルは最後方まで下げたからだ。宝塚記念とは逆の位置関係で、武豊騎手とスペシャルウィークがライバルをマークするような形になったのである。
実際に武豊騎手は、美しい栗毛にまとわれたグラスワンダーの一挙手一投足を見てレースを進めた。最後の3コーナーすぎからペースが上がり始めると、グラスワンダーが一気に外から仕掛けて先頭集団に加わっていく。すると、その動きに呼応するかのように、最後方にいたスペシャルウィークも大外から進出を開始した。
直線に入ると、2頭は馬体を併せて外から力強く伸びる。最内からはツルマルツヨシが鋭く加速し、中央からは馬群を割って4歳馬のテイエムオペラオーが怒涛の末脚で追撃する。残り100mでは4頭が横に並び、レースの行方はまったくわからなかった。
だが、中山の急坂を乗り越えた最後の最後、ゴール板に飛び込むラスト数十mのところでグラスワンダーとスペシャルウィークが前に出た。2頭はぴったり並んでゴール板を通過した。
その後、手を挙げて観客の声援に応えたのは武豊騎手。この時、誰もが「勝利したのはスペシャルウィーク」と思ったに違いない。ところが、掲示板の1番上に灯ったのは、ゼッケン「7」。グラスワンダーが着差わずか4cmとされる歴史的な"大接戦"を制したのである。
グラスワンダーにとって、このレースが最後のGIタイトルとなった。引退後は、種牡馬としてスクリーンヒーローやアーネストリーなどのGI馬を輩出し、さらにスクリーンヒーローからはモーリスという名馬が生まれた。
栗毛の雄大な馬体に、前脚を高く上げる独特のフットワーク。先日、長い生涯を閉じたグラスワンダーだが、その血は確実に受け継がれている。
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