弥生賞でクラシックの出走権を手にするのは? このレースを知り尽くした名手を鞍上に据えた1勝馬がいかにも怪しい

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Sankei Visual

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――クラシックに直結するトライアルとして注目度の高いGII弥生賞(中山・芝2000m)が3月5日に行なわれます。出走メンバーをご覧になっての印象を聞かせてください。

大西直宏(以下、大西)登録段階からフルゲート割れしていて、メンバーの顔ぶれを見ても手薄な感じがます。クラシックを狙う昨今のトレンドは、2歳戦からのぶっつけ参戦が主流になりつつあるので、トライアルを使う陣営も少なくなってきていますよね。古い人間からすると、少し寂しくもあります。

――大西さんが春のクラシック二冠を遂げた時の愛馬サニーブライアンは、強行ローテで本番に向かいました。

大西 僕が現役の頃は、弥生賞を使って(もうひとつのトライアル戦である)GIIスプリングS(中山・芝1800m)も使って、GI皐月賞(中山・芝2000m)へという馬がたくさんいましたからね。

 そういう時代でしたから、サニーブライアンの年明けローテは1月に中山で2戦して、3月にも弥生賞のあとにオープン特別の若葉S(中山・芝2000m。※現在は阪神開催)を使って皐月賞に向かいました。さすがに今は、こんなローテーションを組む馬はいないでしょうね。

――さて、今年の弥生賞ですが、重賞実績があって賞金的にクラシック出走の権利を得ている馬が2頭。残りの馬にとっては、ここでの権利獲得(3着以内)が必須となります。

大西 トライアル戦全般的に言えることですが、(本番に出走可能な)賞金を持っているか、持っていないかで、陣営の気持ちはだいぶ変わります。

 たとえばトップナイフ(牡3歳)は、賞金面に余裕があるのでラクな気持ちで臨めます。前走のGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)では、逃げて勝ちに等しい2着と好走していますが、今回は本番を見据えて、番手に控える競馬を試すこともできれば、大逃げを試してみることも可能となります。

 同じことは、GIII京都2歳S(11月26日/阪神・芝2000m)で逃げきり勝ちを決めたグリューネグリーン(牡3歳)にも言えます。同馬は、前走のホープフルS(11着)では控えたことが裏目に出てしまったので、おそらく今回は逃げの作戦に戻してくるのではないでしょうか。

 ということで、今回の弥生賞で僕が想定している隊列は、グリューネグリーンが逃げて、トップナイフが番手、その直後に権利獲りを狙う馬がズラッと並ぶというイメージです。

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