主役不在のジャパンCは穴党記者推奨の2頭、勢いある外国招待馬と人気落ちの上がり馬が高配当を運んでくる (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 そこで、松田記者は「参戦意思のあった凱旋門賞馬アルピニスタの負傷引退は残念ですが、今年は外国招待馬の台頭がありそうです」と、久しぶりに一発ムード漂う海外勢に期待を寄せる。なかでも、勢いあるドイツの3歳馬に熱い視線を注ぐ。

「楽しみな1頭だと思っているのは、昨年の凱旋門賞覇者トルカータータッソの半弟、テュネス(牡3歳)です。

 ここまで全6戦のうち、良馬場で走ったのはデビュー戦だけで、その後は重、不良など脚力が試される舞台で5連勝を飾ってきました。前走のGIバイエルン大賞(11月6日/ドイツ・芝2400m)も、不良馬場で勝ち時計は2分44秒3。東京・芝2400mではどんなに遅くても2分24秒台前半の時計が求められることを考えると、そのタイム差は約20秒もあって、スピード適性の有無は未知数です。

 ですが、バイエルン大賞は初のGI戦ながら、馬なりで先頭に立って、2着馬に10馬身差をつけての完勝。その力は本物です。今年は3戦しかこなしていませんが、レースを走るたびに後続との着差を広げてきました。

 まさにグイグイと力をつけてきている3歳馬。ここでも通用してしまうのではないか――そう思わせるムードがひしひしと感じられます」

 テュネスを管理するのは、ペーター・シールゲン調教師。過去にも4度、管理馬をジャパンCに送り出して、その経験は蓄積されている。

「シールゲン調教師は、2011年にGI3連勝を飾って凱旋門賞を制したデインドリームを管理していたことでも有名。同馬は当時、欧州最強の1頭に挙げられ、同年のジャパンCにも出走しました。

 そのジャパンCでは勝ったブエナビスタからコンマ5秒差の6着に敗れましたが、ドイツの重い馬場で結果を残してきた馬が、凱旋門賞を2分24秒49のレコード勝ちしたのに続いて、ジャパンCでも2分24秒7というタイムで走りきっています。

 また、シールゲン調教師は騎手時代、1995年のジャパンC(同レースの鞍上はマイケル・ロバーツ騎手)を勝ったランドに騎乗し、前年のGIバーデン大賞(ドイツ・芝2400m)などを勝利した経験があります。

 そうしたことを含め、シールゲル調教師はどんな馬が日本の馬場に合うのかよく把握しており、今回のテュネスの参戦も、同馬の潜在的な馬場適性を見抜いているからこそ、でしょう。持ち時計がなくても、侮れないと思います。

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