凱旋門賞にまったく違うアプローチで挑む日本馬4頭。悲願の勝利に向け、各陣営が自信を覗かせる「戦略」とは

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 日本競馬の悲願でもある凱旋門賞制覇。これまで、さまざまなアプローチで各陣営がその壁に挑んできた。どのような臨戦過程が理想的であるか、どのような馬に適性があるのかといった議論は、勝利という正解がない中で延々と続けられてきている。

今年はドウデュースら、4頭の日本調教馬が凱旋門賞での勝利を目指す今年はドウデュースら、4頭の日本調教馬が凱旋門賞での勝利を目指すこの記事に関連する写真を見る 例えば、「日本とはまったく質の異なる馬場にいきなり対応することは難しい」という考えから、一度現地のレースを経験させるといったことや、中長期の滞在でのチューンアップ、逆に直前まで日本で出走するのと同じように仕上げて現地では微調整、というものもあった。そういった意味では、今年に出走する4頭がすべて異なるアプローチでレースに臨むことは実に興味深く、これまでの積み重ねのひとつの集大成ともいえる。

 凱旋門賞と同じコース、同じ距離の前哨戦GIIニエル賞を使って挑む選択をしたのは、今年の日本ダービー馬ドウデュース(牡3歳)だ。日本調教馬の最高着順である2着は過去に4回あるが、その4回はいずれも前哨戦を使っていた(ただし、1999年のエルコンドルパサーは長期滞在3戦目がフォワ賞)。

 この方法の最大のメリットは、なんといっても本番と同じ条件を経験できること。一方でデメリットは、本番まで中2週と、近年の日本における一線級の馬のローテーションとしてはいささか間隔が短いことだ。前哨戦で好走しても、その消耗が残ってしまって本番でパフォーマンスを落としてしまう、というケースも少なくない。

 ドウデュースを管理する友道康夫調教師も、2016年の日本ダービー馬マカヒキで、同じ臨戦過程で同年の凱旋門賞に臨んでいる。前哨戦のニエル賞を快勝し、大きな期待を寄せられたものの、本番では14着と大きく敗れてしまった。

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