ウマ娘で描かれる全力少女・ツインターボ。G I未勝利ながらも、オールカマーで見せた逃げっぷりに今もファンは魅了される (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

ツインターボの独演会

 そうして迎えた7月、GIII七夕賞で、翌年のGI宝塚記念で2着となるアイルトンシンボリ以下を完封し、重賞初勝利を飾った福島競馬場で2年ぶりの勝利を挙げると、ツインターボを象徴するレースとなるGIIIオールカマーへと向かうことになる。

 当時、オールカマーの格付けは現在とは異なりGIIIで、レース名が示すように、地方所属馬にも門戸が開かれた数少ないレースであった。そうしたレースの性質から、斤量は成績に左右されない馬齢重量で、GI実績馬には有利なものとなっていた。この年の主な出走馬と、その重賞勝ちは以下のとおり。

 ライスシャワー(92年GI菊花賞1着、93年GI天皇賞・春1着)
 シスタートウショウ(91年GI桜花賞1着)
 イクノディクタス(93年GI安田記念2着、93年GI宝塚記念2着)
 ムービースター(93年GII中山記念1着、92年GI天皇賞・秋2着)
 ホワイトストーン(93年GII AJC杯1着、90年GI菊花賞2着)
 (地)ハシルショウグン(93年帝王賞1着)
 
 全13頭中、中央馬9頭はいずれも重賞勝ち馬。もはやGIIIレベルどころか、GIでも遜色ないレベルだ。

 しかし、そんなメンバーも霞むかのようなツインターボの独演会となる。

 いつものように先手を取ると、1コーナーの入口ではすでに後続に5馬身以上のリードをつくり、後続をグングンと引き離していく。3コーナーでは後続に3秒もの差をつけると、ツインターボの自滅を待っていた後続もさすがに痺れを切らす。が、時すでに遅し。懸命に追いかけるも、逆に脚を使わせることとなり、追撃は鈍い。対するツインターボも完全にガス欠だったが、道中に蓄えた貯金は十分で、最後は5馬身差の圧勝となった。

 余談であるが、ツインターボの勝った重賞の上がり3ハロンは良馬場でありながらいずれも37秒台。それでも追いつかせない逃げっぷりだったことが数字からも読み取ることができる。

 結果的に、このオールカマーがツインターボにとって中央競馬での最後の勝利となる。それでもこのレースのインパクトはあまりにも強烈で、そのあとのレースでも「何かやってくれるんじゃないか」という期待を抱かせる競走生活を送り、こうして約30年を経ても多くの人を魅了している。

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