宝塚記念に臨むエフフォーリア。トーンが低い陣営...課題は山積みも、巻き返しの可能性はゼロではない (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 加えて、ゲートで顔が腫れるほどのケガを負った。簡潔に言ってしまえば、大阪杯ではエフフォーリアに"流れ"が向いていなかった、ということだ。

 その一戦からおよそ2カ月半、エフフォーリアは再び、関西圏のGI宝塚記念(6月26日/阪神・芝2200m)に挑む。

 はたして"悪夢"は繰り返されるのか。

 大阪杯での"経験値"があることを踏まえれば、「もう同じ過ちは繰り返さないだろう」と言いたいところだ。が、いまだエフフォーリア陣営からは景気のいい話は聞こえてこない。

 6月15日に行なわれた1週前追い切りに跨った横山武史騎手は、「一番よかった頃に比べると、物足りない」と辛口のコメント。管理する鹿戸雄一調教師も、「まだ1週間前だから。(本番には)これでちょうどよくなる」と前向きな姿勢を見せたものの、動きについては「少しズブい」と漏らした。

 現状、エフフォーリアが万全な状態で宝塚記念を迎えられるかと言えば、決して太鼓判を押せるような状況にはない。横山武史騎手や鹿戸調教師の率直な評価を聞く限り、前走の二の舞といったことも脳裏をよぎる。

 それでも、宝塚記念にはこんなデータがある。過去10年で前走1着だった馬が勝った例は1回しかない、ということ。直近の結果はあてにならないレースと言える。

 しかも、名馬と称されるオルフェーヴルやゴールドシップが、前走惨敗からいずれも宝塚記念で巻き返しを図っている。宝塚記念とは、まさに名馬の"リベンジ"の舞台でもある。

 前出の記者もこんな見解を示す。

「梅雨時の荒れた馬場、2200mという条件が最も合うのは、エフフォーリアです。時期は違いますが、暮れのGI有馬記念(中山・芝2500m)も荒れ馬場の非根幹距離のレース。そこで、エフフォーリアは圧勝劇を演じています。

 出来自体はいい頃に戻っていないとしても、今度はこの馬のレース適性がモノを言うはず。それに、そもそものポテンシャルが他の馬とはまったく違います。劣勢を跳ね返しても何ら不思議ではありません」

 中・長距離界の豪華メンバーが集った宝塚記念。難敵相手にエフフォーリアは現役最強馬としての輝きをとり戻すことができるのか。注目の一戦から目が離せない。

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