「ウマ娘」でもおとなしい性格のメイショウドトウ。宝塚記念で思い出すテイエムオペラオーとの執念の対決 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 そしてこの宝塚記念、積極的に2番手でレースを進めたメイショウドトウは、わずかクビ差でテイエムオペラオーに敗れてしまう。GⅠ初挑戦と考えればよくやった、逆転の可能性を残した敗北と見た人もいたかもしれない。

 しかし、ここからのテイエムオペラオーは、メイショウドトウにとってどうしても越えられない、遥かに高い壁となった。

 宝塚記念の後、2頭はそれぞれ重賞を制して、10月のGⅠ天皇賞・秋で再戦。ここではテイエムオペラオーに2馬身半差をつけられて、メイショウドトウは2着に沈む。

 続く11月のGⅠジャパンカップでは、当時、世界各国のGⅠで勝ち負けを演じていたファンタスティックライトを加えて、3頭の熾烈な争いとなった。

 前でレースを進めたメイショウドトウに、テイエムオペラオーとファンタスティックライトが直線で外から合わせる展開。ゴール前では3つの馬体がびっしり並んだのである。

 しかし、勝ったのはテイエムオペラオー。クビ差の2着にメイショウドトウが入り、ファンタスティックライトはハナ差の3着だった。世界的名馬の前に出ても、さらにその前に越えられない覇王がいた。

 続く12月のGⅠ有馬記念では、多くの人が一瞬「ついに勝てる」と思った瞬間が訪れた。いつものようにメイショウドトウが宿敵の前に位置すると、テイエムオペラオーは4コーナーで進路が見つからず後方に置かれてしまったのだ。

 戦いの舞台となった中山競馬場は直線が短く、この位置から巻き返すのは難しい。メイショウドトウはもがく宿敵を尻目に必死で駆けたが、ちょうど先頭に立とうかというとき、テイエムオペラオーがものすごい末脚で一気に追い上げ、ライバルをかわしてゴールしたのである。恐ろしいほどの強さだった。

 2001年春もこの関係は続いた。前哨戦の重賞を勝った後、天皇賞・春ではまたも覇王に及ばず2着に敗れた。

 振り返ると、1年前の宝塚記念からGⅠ5戦連続で2着となっていた。そしてその勝者はすべてテイエムオペラオー。ライバルが長距離路線のタイトルを総なめにするなか、つねに苦汁を舐め続けていたのだ。

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