シャフリヤールはエリザベス女王の前で偉業達成なるか。馬券が買えるプリンスオブウェールズSの狙い目は?

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 シャフリヤールの出走するプリンスオブウェールズSは、日本国内でも馬券が発売される。現地時間で15日の15時40分、日本時間では同日の23時40分の発走。この発走時間は主催者側の日本側への配慮で、当初の予定よりも早められたとのことだ。

 シャフリヤールはグレナディアガーズとともに日本時間5月30日に日本を出発し、フランクフルトでの乗り継ぎを経て、現地時間同日の午後にニューマーケットのロジャー・ヴァリアン厩舎に入った。もともとヴァリアン厩舎は、イギリスの競馬統括機関であるBHAの指針では外国調教馬が使用する「検疫厩舎」の認定を受けていなかったが、今回の遠征に際して検疫用の区画をしつらえ、BHAの認定を受けた。

 現地での調整も順調だ。6月11日には芝の調教コースであるゴールデンマイルで、レースでも騎乗予定のクリスチャン・デムーロ騎手を背にした追い切りで感触を確かめた。

 今回は日本、ドバイでGIを勝った2400mよりも短い距離での出走となる。3歳時に毎日杯(阪神・芝1800m)をレコードで勝利しているが、あえて約2000mのレースに挑戦する意図を藤原英昭調教師に尋ねると、「もちろん勝算もあるし栄誉もあるけども、まだこの馬自身、隠してる部分もあるだろうし、このレースの結果だけじゃなく内容次第で、今後のレース選択の方向性も見えてくる。それも踏まえて、多くの選択肢の中からこのレースを選んだ」と答えた。日本とは異質とされる"欧州の馬場"をどうこなすかが、勝負のポイントとしてだけではなく、シャフリヤールの今後についても大きな分岐点となりそうだ。

 シャフリヤールにとって追い風となりそうなのが、天候である。この時期のアスコットは雨模様になりやすいが、今年はこの1週間だけでもほぼ降雨がなく、むしろ喉も痛くなりそうなほどの乾燥が続いている。雨が降っている時のアスコットは、地元の馬でもはっきりと適性に差が出ることが多く、対照的な馬場である日本で実績を積んできた馬にとっては"鬼門"と言ってもいい。今回、その心配がなくなったのは大きい。

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