安田記念に強い「ストームキャットの血」。狙いは充実期を迎えている2頭の牝馬 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 産駒にもその秘めたマイル適性は受け継がれている。唯一のGⅠ馬アカイイトはGⅠエリザベス女王杯(芝2200m)を勝利。ディープボンドもGⅠ天皇賞・春(芝3200m)で2着に入るなど長距離での実績に目が行きがちだが、キズナ産駒が挙げているJRA重賞17勝のうち、1600m戦では4勝、2着4回、3着5回と、3着以内に入った馬の数で最多。GⅠの芝1600mに限ると、マルターズディオサが阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神)2着、ファインルージュが桜花賞(阪神)3着とヴィクトリアマイル(東京)2着、ソングラインがNHKマイルC(東京)2着になっている。

 産駒の安田記念への出走は初めてだが、同じ東京コースでは前述のファインルージュ、ソングラインが2着に入っている。ファインルージュもキズナ産駒だが、今回、ソングラインを上に見る理由は母系の血だ。母の父シンボリクリスエスは、2012年の安田記念勝ち馬ストロングリターンの父。さらに、3代母の父マキャヴェリアンは、2005年の勝ち馬アサクサデンエンの母の父と、安田記念に縁が深い血が多い。

 ソングラインは、前走のヴィクトリアマイルは2番人気に推されながら5着に終わったが、3コーナーでつまずき、リズムを崩した影響が大きかったのだろう。東京マイルはNHKマイルCでハナ差の2着。未勝利戦は3馬身差での圧勝、GⅡ富士Sも勝利と好成績を残していて「ベストな条件」と言えそうだ。今年はサウジアラビアのGⅢ1351ターフスプリント(芝1351m)を勝っているように、4歳を迎え充実期に入っている印象もあるだけに期待したい。

 もう1頭は、母系にストームキャットを持つパターンで、ロータスランド(牝5歳、栗東・辻野泰之厩舎)を推奨したい。同馬は母の父スキャットダディがストームキャットの曽孫という血統。ストームキャットは「母の父の父の父の父」と遠いが、スキャットダディは米三冠馬ジャスティファイや、高松宮記念のミスターメロディを出しているように、ストームキャット系の中でもかなりの実績を残している名種牡馬だ。

 ロータスランドの父ポイントオブエントリーはカナダに繋養されている種牡馬で、現役時代はマンノウォーSなど中・長距離の米GⅠを5勝。産駒ポイントミーバイは芝8Fの米GⅠブルースディーSを勝利している。

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